或る「違反」

Daniel Hernandez “Rape victim could be punished under Brigham Young University’s ‘honor code’ “ http://www.theguardian.com/us-news/2016/apr/20/brigham-young-sexual-assault-victims-protests-honor-code
Annie Knox “Protest of BYU planned in wake of Honor Code criticisms” http://www.sltrib.com/home/3794990-155/byu-student-files-federal-complaint-against
Maria L La Ganga and Dan Hernandez “'You're a sinner': how a Mormon university shames rape victims” http://www.theguardian.com/world/2016/apr/30/mormon-rape-victims-shame-brigham-young-university


米国ユタ州ブリガム・ヤング大学は「モルモンのハーヴァード」と呼ばれる。この大学にはHonor Codeというものがある*1モルモン教*2の道徳に基づく学生生活心得みたいなもの。学生は遵守が要請され、違反した場合は放校を含む処分の対象となる。
さて、昨年の9月、 ブリガム・ヤング大学の女子学生Madi Barneyさんは或る男にレイプされた。12月になって、警察の犯罪記録が大学に伝わると、Madi Barneyさんは大学のHonor Code OfficeからHonor Codeに違反した疑いがあるので、査問に応じるよう求められた。彼女は新学期の履修登録を拒否され、事実上の停学処分になっている。彼女は査問を拒否し、大学が連邦法で保証されたサーヴィスを提供しなかったとして、連邦教育省に提訴した。それによって、彼女は一方における大きな支援と、他方における大きなバッシングの渦に巻き込まれることになった。Honor Codeからの免責を求める署名は9万筆を超えている。
Madi Barneyさんは 父親を初め、主だった親戚がみなブリガム・ヤング大学卒業生。モルモン教徒にとって、Honor Code違反による放校は自分が「罪人(sinner)」として認定されたということであり、「永遠の救い」に与れるかどうかという問題に関わる。そういう背景もあって、Honor Codeは性犯罪を隠蔽し被害者を泣き寝入りさせる仕掛けとしても機能している。