「学歴」で判断するか

朝日新聞』の記事;


ショーン・マクアードル川上氏が活動自粛 文春の指摘で

2016年3月16日00時01分


 経営コンサルタントで、テレビ朝日系「報道ステーション」などにコメンテーターとして出演するショーン・マクアードル川上さんが、所属事務所のホームページを通じて自身の英文履歴書に「間違い」があったとして、15日、出演予定の番組も含め、テレビとラジオ番組など計6本について活動を自粛すると発表した。

 米国の大学での受講歴などについて、事実と異なる表記があったという。「週刊文春」の取材で指摘を受けたという。

 自粛するのは報道ステーションのほか、フジテレビ系朝の情報番組「とくダネ!」や、4月から出演が予定されていたフジテレビ系の夜の報道情報番組「ユアタイム〜あなたの時間〜」など。

 水曜コメンテーターとして3月末までレギュラー出演する予定だった報道ステーションについて、テレ朝広報部は「本人から出演を辞退したいとの申し出があり、番組としても了承いたしました」としている。
http://www.asahi.com/articles/ASJ3H7QPKJ3HUCVL021.html

週刊文春』の「指摘」というのは、

川上氏の公式ホームページ「SEAN K」の英文プロフィールには長年にわたり、下記の記述があった。

<高校卒業まで日本で教育を受け、大学で米国に戻り、フランスで2年間を過ごした。(中略)テンプル大学でBA(学位)、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。パリ第1大学に留学をした>(編集部訳)

 川上氏は「週刊文春」の取材に対して、「学位は取っていない」「パンテオンソルボンヌ(パリ第1大学)には入っていない。オープンキャンパスの中で聴講した」「ハーバード・ビジネス・スクールには、オープンコースの3日くらいのコースに1回行った」などと回答。「ホームページは知らないうちに間違った文章が載っていた」などと釈明した。現在ホームページのプロフィールは削除されている。
(「フジ“新ニュースの顔”ショーンKに学歴詐称疑惑」http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160315-00005971-sbunshun-ent

ということらしい。
ショーン・マクアードル川上」氏の弁明については、


「ショーンK、経歴“虚偽記載”認め活動休止…輝かしい経歴「間違い放置してました」」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00000112-dal-ent
「ショーンKさん、学歴詐称疑惑受け「プロフィールに間違い」と謝罪 活動自粛の意向」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00000125-it_nlab-ent


が詳しいか。
〈文春砲〉がフジにも着弾ということなのだろうけど、そもそもこの ショーン・マクアードル川上という方について全然知らなかったのだ。そこで、急いでWikipediaを読み、こういう人なんだと学習*1
これに関して、茂木健一郎*2


ショーンKさんこと、ショーン・マクアードル川上氏のこと、驚きました。

私がBS日テレで一緒に番組をやっている市川紗椰さんとフジテレビの新報道番組をなさるということで、楽しみにしていたのです。

まずは、私自身の印象から記します。

ショーンKさんとお仕事でご一緒した時、その素敵なお人柄に魅せられましたし、そのさまざまな問題についての見識も、素晴らしいと思いました。

次に一般論ですが、私個人としては、ある方のことを考える上で、学歴などは、一切参考にしません。これは、以前から申し上げている通りです。ですから、ショーンKさんの学歴は、認識していませんでしたし、たとえ認識していたとしても、それが、ショーンKさんの印象に影響を与えたとは思いません。

その上で、世間では、一般に、学歴などで人を判断、評価する傾向にあることは理解しています。

どのような経緯かわかりませんが、今回、このような報道がなされましたが、私個人としては、ショーンKさんが、報道番組をどのようにつくられるか、見てみたい気持ちは変わらないです。
http://lineblog.me/mogikenichiro/archives/1967036.html

と書いている。
「そのさまざまな問題についての見識も、素晴らしいと思いました」ということだけど、上でも書いたように、そもそもその「見識」というのを全然知らないのだった。また、「私個人としては、ある方のことを考える上で、学歴などは、一切参考にしません」という。実は私は「学歴」をけっこう気にする。誤解を避けるためにちょっと詳しく言うと、私が気にする「学歴」というのは量的なものではない。つまり、受けた教育の年数とか入学したり卒業したりした学校のランキングとかに関心があるわけではないのだ。或る人が何とか大学院の何とか研究科を出ているという場合、そのことから、この人は誰々の弟子筋の人で、誰々とは同期に当たり、誰々とは先輩後輩関係にあるという情報が得られる。「見識」というか、知識や思想というものは、師匠のそれを継承したり師匠に逆らったり、仲間と切磋琢磨しつつ形成されていくものだろう。だからこそ、「学歴」は「見識」を判断する上で重要な情報となる。思想史や科学史を研究している人は常にこうした情報を利用している筈なのだ。勿論、「学歴」というのは人物などを判断するための数多の情報のひとつにすぎない。また、茂木氏は一切の〈属性〉を参照しないと言っている。「ショーンKさんが「ハーフ」であるとか、国際的に活躍されている「経営コンサルタント」であるとか、あるいはハーバード大学のMBAであるとか、そういうことは一切関係ないし、参照もしませんでした」*3。「私は、誰かに接するときに、その人の肩書とか、学歴とか、本当に興味がなくて、その人が何に関心があるか、あることについてどう考えるか、どういう発言をするか、ということにしか注意を向けません」*4。それは基本的には正しいと思う。そのようなことは自然に行われることはなく、エポケーという契機が必要であるということはいうまでもないけど。
上に書いたように、私にはショーン・マクアードル川上氏の「見識」を評価する資格は全くないのだが、当たり前のことながら、彼を知っている人の中には彼を好きな人もいれば嫌いな人もいる。嫌いな人は今回の学歴詐称問題を、従来からの〈嫌い〉という判断を補強する材料として使っているようだ。やっぱりね、というわけ。好きだ(だった)という人が提示された「学歴」にどの程度影響されていたのかはわからない。まあ、佐村河内守の楽曲に感動したけれど、佐村河内の耳は聞こえるし実際に作曲したのは新垣隆だということがばれた途端に感動は褪めてしまって、金返せ馬鹿野郎! というふうに態度変更した奴もいたのだった。今回、そういう態度変更が起きているのかどうかはわからない。「見識」については評価する資格がないものの、学歴詐称について感想を言うことは許されるだろう。誤った自己呈示を何年も放置していたというのは美学的な問題があるように思う。自分の服が汚れているのに長い間クリーニングにも出さないという感じ。また、嘘として面白くない。その内容は平均人(偏差値50)が如何にも考えそうな〈国際エリート〉そのままだ。まあ、嘘吐きとしての藝は(殺された)村崎百郎*5に遠く及ばないとはいえるだろう。話が転がって申し訳ないのだが、学歴詐称疑惑というと、これまでは政治家がターゲットになることが多かったと思う。民主党古賀潤一郎*6って今どうしているのだろうか。また、新間正次*7というオヤジもいたね。野村沙知代の学歴問題が盛り上がったのも、彼女が(元祖小沢ガールズとして)選挙に出て次点になったことと関係がある。これらは、選挙公報に嘘を書くのは好色もとい公職選挙法違反なので仕方ないねということはあるのだけど、それでもこの人たちに投票した人に、投票に際して「学歴」情報をどの程度「参照」しましたか、と訊いてみたいという気はする。
オリコン・スタイル』の記事;

ショーンK 『とくダネ!』も降板

2016年3月17日


 キャスターの小倉智昭氏(68)が17日、フジテレビ系『とくダネ!』(月〜金曜 前8:00)で、同番組の金曜コメンテーターを務めていた経営コンサルタントのショーンKことショーン・マクアードル川上氏(47)の番組降板を伝えた。


 番組冒頭、同局の梅津弥英子アナウンサー(38)が、“経歴詐称”が報じられた川上氏から辞退したいとの申し出があったと説明。小倉氏も「こうした事態になってしまいました。番組としてはお詫びをさせていただきたいと思います」と謝罪した。

 続けて「ショーンさんは5年以上にわたってコメンテーターとして出演してもらいました。わたくし個人としては大変、英語も堪能な方ですし、日々の国際情勢に関しても一早く番組に意見を反映させてくれて、さまざまな分野において的確なことを伝えてくれた。未だに信じられない思いでいっぱい。本当に残念でなりません」との思いを口にした。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2068639.html