言葉知らず

古市憲寿について直接言及したことはなかった*1
さて、『J-CASTニュース』の記事;


「ハーフって劣化するのが早くないですか?」 社会学者・古市憲寿氏の「差別発言」に非難殺到

J-CASTニュース 1月4日(月)18時53分配信



  「ハーフってなんで劣化するのが早いんでしょうね」

 社会学古市憲寿さんのハーフに対する発言がインターネット上で批判を浴びている。


■ウエンツに「なんだよ!」と反論される

 問題になった発言は、2016年1月1日放送の「ワイドナショーSP」(フジテレビ系)で飛び出した。

 番組ではウエンツ瑛士さんの小さいころの写真が取り上げられ、コメンテーターたちも「かわいい〜」。生まれたころは白かった髪がだんだん暗くなっていったとビジュアルの変化が明かされ、MCの東野幸治さんが「(小さい頃が)一番いいタイミングなんでしょうね」とコメントした。古市さんは笑いながら、

  「一番いい時期って、ハーフってなんで劣化するのが早いんでしょうね」

と発言した。これに対してウエンツさんは笑みを浮かべつつも「なんだよ!」と繰り返し、

  「ちょっといいですか、もう初めて言わせてもらいますけど、なんだよ!」

と反論した。古市さんはそれを受けて

  「ウエンツさんのことじゃなくて、でも、一般的になんか、劣化って早くないですか?」

と重ねて自説を述べた。

 古市憲寿さんは「絶望の国の幸福な若者たち」や「だから日本はズレている」といった現代の若者に関する問題を扱った著書で知られる社会学者だ。若手の社会学者として数々のテレビ番組にも出演している人物が、「ハーフ」という特定の属性の人々をまとめて一般化し人種差別ともとれる発言を行ったことについて、

  「古市発言、普通にルッキズムレイシズムの盛り合わせだろ。最低だな。」
  「お前だけは特別扱いしてやるの名誉白人スタンスで最悪だ...」
  「古市憲寿が後でフォローで、『ウエンツさんのことではなくて、一般的なこととしてハーフの人って...』って言っていて、そこは一般化した方が完全に差別発言としてアウトだろうに、バカなの?と思ってしまった。日本のテレビって、混血に対する差別的発言をジョークにして良いの?」

などとネット上では批判が相次いだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160104-00000004-jct-soci&p=1

たしなめた指原の評価が上がる

 一方で、古市さんの「劣化」という言葉について「ものに対する言葉な感じしますよね、人ではなく」とたしなめたHKT48指原莉乃さんへは、

  「古市憲寿さん、ひでえこと言ってんな。逆に指原の評判が上がる。ウエンツ、切れてもいい」
  「古市自身の『劣化』より、指原の真っ当な『反応』が哀しいな。これは、常にこの言葉にさらされてきて、その度に『物か私は!』と反発してきた結果だと思うから。自分の言葉になってないと、咄嗟にこんな反論できないよ。」

と評価する言葉が寄せられている。

 そもそも「ハーフ」という言葉自体、問題があるとする見方もある。ハーフが「半分」「不完全な」という意味を持つことや、否定的・差別的な扱いを受けてきた背景から「ダブル」や「ミックス」といった言い方をされることも増えている。

 古市さんは放送前日の2015年12月31日、自身のツイッター上でワイドナショーの宣伝をして以来、この話題には触れていない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160104-00000004-jct-soci&p=2

まあ、古市というのはヴォキャ貧というか言葉の使い方を知らないということなのだろう。勝手に推測してみる。一般に亜細亜人は西洋人に比べて童顔というか幼く見えるということはある。欧米で未成年者に間違えられて酒場から追い出されたという日本人の話もちょくちょく聞く。逆に、西洋人は容貌が老けるのも亜細亜人より早いだろう。であれば、西洋人の遺伝子を共有する「ハーフ」*2の人は容貌の老化が早いんじゃないか。そういうことをいいたかったのでは? それよりも問題なのは、人間(人格)に対して「劣化」という言葉が使われたことだろう。「ものに対する言葉な感じしますよね、人ではなく」と指摘した指原莉乃*3のセンスは正しいと思う。哲学的に気取って言えば、現実存在(existence)と本質存在(etre)、whoとwhatの混同*4。勿論、古市だけの問題ではなく、何年も前から人間(人格)に対して「劣化」という言葉を使うという風潮が気になっていたのだ。齢を取ったので私の勃起能力が劣化した、とはいうことができる。でも、(人格たる)私が劣化するわけはないじゃないか。そういえば、香山リカが「劣化」という言葉をタイトルに仕込んだ本を出していたよなと思った。gryphonさんが紹介しているのは2013年と2014年の本だけど*5、それ以前にも「劣化」本を出していなかったっけ。
さて、


「「女性議員は妖怪みたいな人多い」 古市憲寿発言に「ヘイトスピーチだ!」と反発の声」http://www.j-cast.com/2014/09/05215183.html?p=all


ここでも、古市が言葉を知らないということが凄く発揮されている。男性中心主義的な世界で頭角を現す女性にはそのファロサントリックなオヤジ的な価値観やテイストを並みの男以上に内面化してしまった人が屡々いるということは、政治に限らず何処でもある話だろう。もっと一般化して、社会学っぽく語れば、マイノリティのメインストリームに対する過剰な適応・同化。そういう話をすればいいのに、「妖怪」なんてえぐい言葉を使ってしまうので、「女性蔑視の差別主義者」だとか「ヘイトスピーチ」だとかといった攻撃を浴びてしまう。