噂の短篇

「【追記あり古市憲寿さんが芥川賞選考委員にいろいろ言われちゃってる件」https://anond.hatelabo.jp/20190812012815


古市憲寿*1の小説が再度芥川賞候補になったが、受賞は逃した。「高学歴なのにビルの窓の清掃員をやってる主人公の話で、参考文献が詳細にあげられているらしい」という。そして、幾人かの銓衡委員がその「参考文献」のうちの一つである木村友祐「天空の絵描きたち」という短篇小説(『文學界』2012年10月号)に言及している。山田詠美川上弘美吉田修一堀江敏幸。何れも古市に対する酷評。また、「参考文献」には言及していないが古市に対してネガティヴな評価を下しているとして挙げられているのが、島田雅彦宮本輝。唯一古市をプッシュしているのが奥泉光であるという。ここに名前が上がった作家は保守反動(笑)の宮本輝を除けば、みなポストモダニズムの洗礼を受けた以降の世代に属している。そういう世代の作家たちによって拒絶されたわけだ。「外にあるさまざまな言葉」の「コラージュ」であるなら、島田雅彦とか大々的にプッシュする筈なのだけど。
ところで、「天空の絵描きたち」を読みたいと思った人は急激に増えているんじゃないかな。増田から孫引きすると、山田詠美さんは「極めてシンプルで、奇をてらわない正攻法」で、古市のものよりも「はるかにおもしろい」という。川上弘美さんは「木村友祐さんの声がそのまま」古市の小説の「中に、消化されず、ひどく生のまま、響いている」という。ただ、単行本にはなっていない。7年前の『文學界』は普通の図書館では保存していないのでは?