現地時間ではまだ1月

承前*1

或る程度は覚悟していたのだろうけど、最悪の結末。現地時間では1月31日だが、日本というか東亜細亜では、悲しみと落胆で2月が始まってしまったようだ。
『毎日』の記事;

イスラム国」:後藤さん殺害か動画公開 政府は確認急ぐ

毎日新聞 2015年02月01日 06時27分(最終更新 02月01日 14時39分)


 【カイロ秋山信一】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)とみられるグループはシリア時間の1月31日午後10時(日本時間2月1日午前5時)ごろ、仙台市出身のジャーナリスト、後藤健二さん(47)を殺害したとする新たな映像をインターネット上で公開した。ISが拘束していたヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉の安否には触れていない。ISは、ヨルダンで収監されているISの前身組織メンバー、サジダ・リシャウィ死刑囚の早期釈放を求めていたが、ヨルダン政府は応じなかった。ISは、後藤さんと共に拘束していたとみられる千葉市出身の湯川遥菜さん(42)も「殺害した」としており、一連の人質事件は最悪の結末を迎える公算が大きくなった。

 「日本政府へのメッセージ」と表題が付けられた映像は、約1分間。1月20日に投稿された最初の映像と同様、IS広報部門のロゴマークが入っていた。

 黒ずくめで覆面姿のIS戦闘員とみられる男が、オレンジ色の服を着てひざまずく後藤さんとみられる男性の脇で、「我々の軍隊は血に飢えている。安倍(晋三首相)が勝てもしない(ISとの)戦争に参加する決断を下したせいで、ケンジを殺すことになった」と主張。「おまえの国民を場所を問わず殺すだろう。日本にとっての悪夢が始まる」と話した。その後、地面に横たわった遺体が映し出された。

 覆面姿の男は、20日の映像に登場した人物と同じとみられる。背景は砂漠のようだが、20日の映像とは異なっていた。湯川さんと同様、後藤さんの「殺害」を証明する材料は映像以外にない。ISは過去の人質殺害事件で遺体を返還するなどしておらず、安否確認を含めた実態解明には困難が予想される。

 一連の人質事件は1月20日、ISが後藤さんと湯川さんを拘束している映像を公開して表面化した。IS側は日本政府に対し、「72時間以内に2億ドル(約235億円)を支払え」と要求。24日には「湯川さんを殺害した」と主張して遺体とみられる画像を公開し、身代金要求を取り下げる一方、死刑囚と後藤さんの「人質交換」を要求した。さらに27日には、死刑囚を釈放しなければ24時間以内に後藤さんと中尉を殺害すると脅迫。29日には、日没までに死刑囚をトルコとIS支配地域の境界に連れてくるよう求めていた。
http://mainichi.jp/select/news/20150201k0000e030101000c.html

See also

Justin McCurry “Isis video purports to show beheading of Japanese hostage Kenji Goto” http://www.theguardian.com/world/2015/jan/31/isis-video-beheading-japanese-hostage-kenji-goto
Justin McCurry “Killings leave Japan's pursuit of bigger foreign role at the crossroads” http://www.theguardian.com/global/2015/feb/01/killings-leave-japans-pursuit-of-bigger-foreign-role-at-the-crossroads
“Japan outraged at IS 'beheading' of hostage Kenji Goto” http://www.bbc.com/news/world-middle-east-31075769
Reuters “ISIS says it has beheaded Japanese journalist Kenji Goto” http://indiatoday.intoday.in/story/islamic-state-kenji-goto-beheaded-shinzo-abe/1/416351.html


このような事態になっても、ネット上では後藤氏を貶める言説が産出されている。また、山田順*2という人は1月27日付けのテクストで、


どの局でも、キャスターからゲストコメンテイターまで「国民のすべてが後藤健二氏の生還を願っています」などと言って、悲痛な顔をしている。

しかし、国民の半数以上は彼の生還など願っていない。そんな世論はほとんどない。あるのは、自己責任論の方で、「危険を承知して自分の意志で行ったのだから、それで拉致されたからといって自業自得。政府がわざわざわれわれの税金を使って救済活動する必要はない」というのが、密かに形成されている国民の大方の意思だ。

それを無視して、白々しい報道を続けるテレビ局は自己矛盾を感じないのか? とくにいつもなにかあれば「国民が、国民が」というキャスターたちは、なんでこんなウソを平気でつけるのか?
(「イスラム国人質事件報道に関する「素朴な疑問」いくつか……」http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamadajun/20150127-00042569/

と述べている。だとしたら、ISISに殺される前に「国民」に殺されているということじゃないか。
後藤氏のお嬢様方は、まだ死を了解することもできないのに、この世で父親に再会することが叶わなくなってしまったわけだが、何年か後には伝えなければならないだろう。あなた方は、自らのお父上を誇りに思ってよい、と。