承前*1
高橋秀樹「<「日本人全員大卒」は理想なのか>高卒就職を魅力あるものにすることも大人の責任」http://blogos.com/article/97060/
『朝日』の「大学進学率の地域差、20年で2倍 大都市集中で二極化」という記事*2へのいちゃもん。この高橋という人は「放送作家」だということだが、どんなTV番組に関わっていたのかということは知らず。
まあ〈大学行くだけが人生じゃないよ〉という(良く言えば)浪漫主義めいた主張もわからなくはない。ただ、別のところでも述べたように*3、猫も杓子も大学へという大学進学率の上昇の背景には、グローバル経済や地域社会の変容によって、学歴(学校)に依存せずにそれなりに出世していく可能性が狭まったということがある。高卒者に対する求人が激減して、今や高卒で就職することはどっか大学に潜り込むことよりも遙かに難しいことになっているわけだ。だから、この高橋氏がいうようなお気楽「モラトリアム」としての大学生というのは寧ろ懐かしい存在、1970年代からバブル期頃までの大学生じゃないの?
さて、「高校生の就職を魅力あるものにする責任が大人たちにあるだろう」、と。その言や好し。だったら、「放送作家」として、かっこいい高卒の若者が主人公のドラマを作るとかさ。さらに、「放送作家」としての特権を使って、TV局に対して新採用の半数は高卒にするように要求すればいいんじゃないの? そうしなければ、お前の局の仕事はボイコットするとか言って。
高橋氏の文章の中でいちばん引っかかったのは最後のパラグラフだったのだ;
「魅力あふれる県」? たしかに観光客として数日間滞在するだけなら。問題は大学進学率が低い県というのは就職先も少なそうだということだ。逆に進学率が高い大都市圏は就職先も田舎よりは相対的にましだということは容易く推測できる。
少なくとも、大学進学率が40%未満だった、青森、岩手、大分、宮崎、鹿児島の各県が、大学進学率をあげるためだけの方策を実施することだけは、止めてほしいものだ。どの県も、その指標だけではない魅力あふれる県ではないか。