死者を確認

承前*1

木曽御嶽山の噴火に関して。
9月28日午後2時半過ぎの『スポニチ』の記事;


三十数人が心肺停止、負傷者多数 御嶽山噴火、岐阜側は全員下山


 長野、岐阜県境の御嶽山(3067メートル)の噴火で、長野県警は28日、登山者ら三十数人が山頂付近などで心肺停止になっていると発表した。警察や消防、自衛隊は朝からヘリコプターなどで救助を再開した。負傷者も多数に上るという。

 噴火は27日午前11時52分ごろに発生し、多数の登山者らが取り残されたが、夜までに約230人が下山。40人超は山小屋などで一夜を明かしたが、岐阜県側の26人は28日に全員が下山した。重軽傷者も含まれている。

 気象庁によると、噴火活動は続き、5段階の1(平常)から3(入山規制)へ引き上げた噴火警戒レベルを維持。南側斜面を3キロ以上流れた噴煙は、上空から確認した気象庁が「樹木が燃えた痕跡はなく火砕流が流れたとは認められない」との見解を示した。

 噴火直後、噴煙は上空10キロ以上まで達したとみられ、気象庁は28日も長野、岐阜両県で降灰があると予報。火口から4キロ程度の範囲では大きな噴石の飛散の危険があるほか、風により居住地域近くまで影響を及ぼす恐れもあるとし、警戒を呼び掛けている。

 御嶽山の噴火は2007年3月以来。気象庁は27日に機動観測班を派遣したのに加え、28日に専門家らによる火山噴火予知連絡会の拡大幹事会を開催するなどして、噴火の詳しい状況を調査している。

[ 2014年9月28日 14:36 ]
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/09/28/kiji/K20140928009009620.html

夜10時過ぎに配信された『産経』の記事;

御嶽山噴火 心肺停止で搬送、4人の死亡確認 長野県警

産経新聞 9月28日(日)22時17分配信


 長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火で、長野県警は28日、4人の死亡を確認したと発表した。今回の噴火で死亡が確認されたのは初めて。

 県警によると、4人は心肺停止の状態で同日夜に長野県木曽町の旧町立上田小学校跡地の体育館に運び込まれた登山者ら。すべて男性だという。死因など詳しい状況は不明。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140928-00000555-san-soci

サヴァイヴァーの語りを読む;

御嶽山噴火 「ドカン」巨石の雨 軽トラ大…「もうダメだ」

産経新聞 9月28日(日)7時55分配信



 立ち上った噴煙は、大勢の登山客らをのみ込み、麓に至る山肌を真っ白な灰で染めた。27日昼前に突然噴火した長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)。紅葉狩りを楽しむ山頂付近の登山客らの頭上に巨大な石が降り注ぎ、楽しいはずの行程はパニックに変わった。「生きて帰れないと思った」。生還者は恐怖の一部始終を語った。山小屋には多くの登山客が避難し、一様に不安そうな表情を浮かべた。

 「本当に生きた心地がしなかった」。御嶽山が噴火した際に山頂付近にいた長野県飯島町の山岳ガイド、小川さゆりさん(43)は、興奮した様子で当時を振り返った。

 午前11時40分ごろ山頂に到達し、火口を回る「おはち巡り」をしていたところ、突然「ドカン」と大きな音がした。驚いて音がした方向を見ると、石を空中に飛ばしながら、一気に煙が噴き出していた。まもなく強い硫黄臭が漂い、嘔吐(おうと)する登山客もいた。

 火山灰とともに、周囲に直径1メートルぐらいの大きさの石が飛んできたため、急いで岩陰に隠れた。まもなく、もう一度「ドカン」という音が鳴り、今度は軽トラック大の石が飛んでくるようになった。巨大な石は地面にぶつかって割れ、破片が四方八方に飛び散った。黒い雨が降り始め、雷のような音も鳴ったという。灰はひざ上まで積もった。「もうダメだ」。そう思った。

 噴火当時、山頂には50人ぐらいの登山客がおり、女性4人組のグループの1人は、飛んできた石が左足に当たり、骨折してパニックになっていた。「救助してあげたかったが、どうにもできなかった」

 噴火の勢いが一時的に弱まったすきに、普段通らないルートをまっすぐ突っ切り、一目散に走って9合目にある石室山荘まで下りて助けを求めた。「もう、生きて帰れないと思ったけど、なんとか生還することができた」

 横浜市から来た会社員の男性(61)は妻(58)と9・5合目付近で昼食を終え、山頂を目指そうとした矢先に噴火が起きた。「ドーンという音がして入道雲のような煙が上がった。1分もたたないうちに周りが真っ暗になり、何も見えなくなった」

 噴煙で辺りが真っ暗になり軽石のようなものが降ってきた。初めは熱くなかったが、次第に熱く感じるようになった。山肌が破裂するような「パン、パン」という音も聞こえたという。

 「体を伏せろ」「口をふさげ」。そんな声が聞こえ、岩のそばに頭を抱え込むようにして身をかがめ、タオルを口にあてた。

 周辺にいた人が「焦らないでゆっくり下りて」と言ったのを機に、妻を先に下山させ、後から下りようと思ったが視界はわずか30センチほどしかない。小さなライトは持っていたが役に立たなかった。山道の道幅を示すロープを頼りに足場を確認しながらゆっくりと下り、たどり着いた9・5合目の山小屋で妻と再会できた。真っ暗な中を30分以上1人でさまよい「このままもう会えないかもしれないと覚悟した」と話した。

 ■「灰色の壁」 視界奪われ

 滋賀県長浜市から単独登山していた竹内裕一さん(30)は噴火時、山頂まで400メートルほどの地点にいた。登山道には登山者の列が連なっていたという。

 「パーン!」。突然、風船が割れたような乾いた音が響いた。山頂を見上げると、白煙が立ち上っていた。続けざまに、何度も爆音がとどろいた。「噴火だ!」。竹内さんがそう理解したときには急勾配を噴煙が猛烈な勢いで迫ってきた。「灰色の壁だった」。竹内さんは、無我夢中で斜面を駆け下りた。「巻き込まれたらどうなる」「倒れて骨折してもいい。命だけは…」。灰の壁はどんどん迫り、煙の壁にのみ込まれた。視界を奪われつつも山小屋に駆け込んだ。

 兆候はあったという。竹内さんは山小屋で、前日から宿泊している登山客に「急に硫黄の臭いが強くなった」という話を聞いていた。竹内さんは月2度は山に登っている。「こういう事態もあると覚悟はしていた。だがあのとき、恐怖しかなかった。しばらく登山は控えるつもりだ」と疲れ切った様子で話していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140928-00000071-san-soci

今度は『朝日』の記事;

爆音、噴煙、人が埋もれた 下山者、ザックに命救われる

朝日新聞デジタル 9月28日(日)16時22分配信


 「うつぶせのまま噴煙をかぶって埋もれていく人が3人はいた」

 噴火当時、御嶽山の山頂付近にいて28日午前に岐阜県下呂市に下山した女性3人が報道陣の取材に応じ、噴火当時の様子を生々しく語った。

 千葉県松戸市の69歳と73歳と、栃木県日光市の65歳で、いずれも主婦。3人で登っていた。

 山頂の剣ケ峰。御嶽神社社務所の裏で、昼食を食べようとザックを下ろした時だった。「すごい爆音が聞こえて、見たら噴煙が上がっていた」

 うち2人は、社務所のひさしの下に頭を入れて逃げ込み、「命拾いした」。岩が落ちてくる。「肩や頭をけがした人たちがいた。うつぶせのままちぢこまり、灰に埋もれていく人が数えただけで3人はいた」

 辺りは一時、噴煙で真っ暗になった。足元に灰が積もり、「これで熱くなったら、死んじゃうんだろうな」と思った。しばらくすると明るくなり、順に抜け出したが、体が埋まってリュックやストックだけしか見えず、動かない人もいたという。

 残る1人(69)はひさしの下に入れず、並んだ仏像の横に座った。ザックで頭を覆い、落ちてくる石を防いだ。「後で見ると、中に入っていた金属製の水筒がぺちゃんこになっていた。このザックが私の命を守ってくれた」

 ひざから下が火山灰に埋まった。その足元に、絶命したようにみえる人が2人いた。「その人たちの重みで私の足は上がらなかった。一緒の2人が私の足をかき出してくれて抜け出せた」

 男性が社務所のガラスを割り、「中に入れ、入れ」と言ってくれた。社務所の中には、背中を打って横たわっていた人がいたという。「最初は『痛い、痛い』と言っていたが、30分ぐらいしたら動かなくなってしまった」

 山小屋の人から、下山を勧められ、「けがしている人たちを見捨ててくるようで……」と後ろ髪をひかれながら「火山灰の中を雪山を滑り降りるように下山を続けた」という。27日は「五の池小屋」で一夜を明かした。まきストーブもあり、食事もけがの手当てもしていたという。「布団で寝られた。ほっとした」と振り返った。

 「幸運にも社務所の横にいて最初に逃げ込めたから助かった。目の前で亡くなった方がたくさんいた。早く家族の元に帰れることを祈っています」と話した。(豊平森、斉藤太郎)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140928-00000025-asahi-soci

ところで、あの早川由紀夫*2って火山学専攻の筈だったけれど、何か言っているの?