気圧配置に変化あり?

承前*1

警察当局のリークか理研のリークか知らないが、自殺した笹井芳樹の、小保方晴子に宛てた師弟愛に充ちた遺書の内容がメディアに流されている*2
笹井氏の自殺を契機に、世間の空気の気圧配置に微妙な変化が現れているような気がする*3
『報知』の記事;


小保方さんに精神的ショック心配のメール多数 代理人事務所に「普段の10倍」

スポーツ報知 8月7日(木)7時7分配信

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が5日に自殺したことを受け、笹井氏の指導でSTAP細胞論文を執筆した小保方晴子氏(30)に、精神的ショックを心配するメールなどが多数寄せられていることが6日、分かった。小保方氏の代理人・三木秀夫弁護士が明らかにした。弁護士事務所に届いたメールは、「普段の10倍」の件数に上ったという。

 大阪市内で取材に応じた三木弁護士によると、笹井氏が自殺した5日から、事務所にメールなどで、小保方氏を気遣う問い合わせが「数十件」あったという。三木氏は、「昨日(5日)からどっと増えた。普段の10倍くらい多い感じ。精神的ショックを心配する内容が多かった」と話した。「頑張って」という激励の声もあったという。

 理研などによると、笹井氏の自殺で、小保方氏は、「非常にショック」を受けており、場合によっては心理的なケアが必要な状態。三木氏は、励ましについて「彼女のことを心配していただいている方がたくさんいると感じた」と、感謝した。

 小保方氏は、7月からSTAP細胞の再現実験に参加。本格的に実験を始めるのは9月ごろからで、11月末ごろには結果を公表するとしている。三木氏は、小保方氏の心身状態の不安や、実験への影響は「何とも言えない」というにとどめた。また「さまざまな状況を踏まえ、情報発信は控えたい」とし、現在の小保方氏の様子について触れなかった。実験参加のため同センターに出勤するかどうかも「把握していない」としている。

 小保方氏のケア態勢については、「理研に対応を一定限度お任せしている。状況を聞きながら、引き続きケアの依頼をしていきたい」とした。前日に理研側と話し合ったという。

 一方、笹井氏が小保方氏に宛てたという遺書について、三木氏は「まだ彼女の手元に届いていないと思う。今は警察で保管されていると思う」と、本人に遺書が渡っていないことを明かした。

 関係者によると、小保方氏宛ての遺書には「STAP細胞を必ず再現してください」「あなたのせいではない」などの趣旨の言葉が記されていたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140807-00000078-sph-soci

次の、今回の事件を理研内部の〈お家騒動〉に還元せんと試みた『東スポ』の記事も、こうした気圧配置の変化を背に受けたものといえるだろう;

東スポWeb 8月7日(木)7時6分配信
笹井氏悲劇の裏に「裏切りリーク」「小保方氏とのメール暴露」


 悲劇の裏には一体、何が!? STAP細胞論文の共同執筆者で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB=神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が5日、同センターの施設が入る先端医療センター研究棟内で首をつっているのが発見された。現場には遺書が残されており、自殺とみられる。同論文主著者の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)も大きなショックを受けているという。それにしても日本有数の再生医学の権威は、なぜ死に場所にあえて研究棟を選んだのか?

 理研の広報室などによると午前8時40分ごろ、笹井氏が首をつっているところをセンター関係者が発見。ただちに警察と消防に通報し、隣接する神戸市立医療センター中央市民病院に運ばれたが、午前11時3分に死亡が確認された。現場状況から事故や他殺の可能性はないという。

 5日午後、笹井氏の自宅に人の出入りはあったものの、報道陣への応対はなかった。笹井氏は遺書とみられる書面を4通残し、3通が自殺現場にあった。小保方氏宛てのほか、部下やCDBの竹市雅俊センター長(70)への謝罪、さらに理研の関係者宛てに、残された家族に対してのことが書かれていたという。また、笹井氏の研究室内にある秘書の机には、総務課長らへの遺書があったという。関係者によると、小保方氏宛てのものには「STAP細胞を再現してください」という趣旨の言葉が記されていた。

 ノーベル賞候補と称されたこともあるエリート研究者の自殺の裏側には何があったのか。理研の関係者は「笹井さんは裏切られたと話していました」としてこう語った。

「笹井さんは味方も多いが、敵も多かった。その反笹井派がやったNHKを筆頭にしたマスコミへのリークが度を越えていた」

 度を越えたリークとは、個人的なメールの暴露で、それもかなりひどい状況だったようだ。理研から与えられたアドレスで小保方氏と行ったやりとりが、調査で公表していない部分まで全て漏れていたというのだ。

 笹井氏は6月に「自分が出したメールがバラまかれている。その内容をコピーしたものを添えて、私をバカにするような内容のメールが届いた」と、あるジャーナリストに明かしていた。

 確かに先月27日に放送されたSTAP細胞問題に関する「NHKスペシャル」では、理研の調査委員会に提出された笹井氏と小保方氏のメールのやりとりが放送された。

「小保方さん本日なのですが、東京は雪で、寒々しております。小保方さんとこうして論文準備ができるのを、とてもうれしく思います」と男性のナレーションで笹井氏のメールを紹介。続けて女性の声に変わり「また近いうちにご相談にうかがわせていただけないでしょうか」との小保方氏のメールが、画像をバックに読み上げられた。

「騒動が過熱してからは笹井さんも小保方さんも理研のアドレスを一切、使用しなくなった。メールの盗み見とリークについては、小保方さんも笹井さんも『そんなことまでするのか』と疲弊していました」(前出の関係者)。ましてや2人には交際疑惑までささやかれていたから、なおさらだ。

 理研内部の何者かの裏切りリークに心を痛めつけられたことが、自らの命を絶つ引き金になった可能性は否定できない。

 自殺場所として選んだのは、自宅でもなく、研究拠点である発生・再生科学総合研究センターでもない。自分の研究室がある先端医療センター研究棟2階でもなく、iPS細胞の研究もしている先端医療センター研究棟5階の階段部分だった。

 メールをリークした裏切り者へ「なぜそこまでする?」という抗議の意図があったのだろうか。

 精神科医の東京・銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)院長は、こう指摘している。

「STAP細胞やiPS細胞の研究をしていた場所で自殺をしたのは、内心STAP細胞が本当にあるのかと疑問に思いつつも、わが命を懸けてでも最後の責任を取り、誠意を表したいと思ったのでは。殉死したという印象。武士の切腹に近いものを感じる」*4

 また、一方で「すべてを他人の責任にしてリセットできる人は自殺しない。自殺とは責任感の極まるところ」と茅野氏は、笹井氏の自責の念が自殺という選択肢を引き出してしまったのでは、ともみている。

 笹井氏が心理的なストレスで3月に入院していたことも、5日に明らかにされた。本紙もその当時、笹井氏の精神不安を報じている。

 小保方氏も大きなショックを受けており、騒動の発端となったSTAP細胞論文に影響も出そうだ。自殺で失ったものは計り知れない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140807-00000005-tospoweb-ent

東スポ』としては、「裏切り者」は「iPS細胞の研究もしている先端医療センター研究棟5階」にいると言いたいわけね。ただ、NHKが番組内で引用したメイルというのはあくまでも「理研の調査委員会に提出された」ものであって、不正な仕方で「リーク」されたものではないわけですよね。
「リーク」ということだと、3月6日に『産経新聞』は「STAP細胞 小保方さん、再現実験に成功 論文発表後初めて」という記事を出している*5。他紙はこのネタに全然飛びついていない*6。この記事を紹介した人は「STAP疑惑騒動をカモフラージュするもので、一説によると副センター長がリークしたともささやかれている」と書いている*7。これが事実だとすれば、「リーク」はどっちもどっちということになるけど。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140805/1407234173

*2:See eg. http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140805/crm14080521100033-n1.htm http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20140807/1407370091

*3:実は小保方晴子NHKのクルーによって便所まで追い込まれてしまった事件辺りから、彼女への同情が再活性化してきたのではないか。See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140724/1406217056

*4:因みに、「武士道」云々は中国における報道でも言及されている。Eg. 陳詩悦、何源亭「日本科学家渉学術不端自縊身亡」『東方早報』2014年8月6日

*5:http://sankei.jp.msn.com/science/news/140306/scn14030609000001-n1.htm

*6:https://twitter.com/Watchdog_Japan/status/441507520004116480

*7:http://d.hatena.ne.jp/shamada/20140325 誰によって「ささやかれている」のかはわからない。