心理学的段階はなし?

承前*1

『毎日』の記事;


STAP細胞:理研が存在を否定 小保方氏証明できず

毎日新聞 2014年12月19日 10時37分(最終更新 12月20日 10時15分)


 STAP細胞を作る試みに終止符を打つ記者会見に「主人公」の姿はなかった。19日、理化学研究所が発表した検証実験の打ち切り。論文著者の理研研究員、小保方晴子氏(31)は「200回以上作製に成功した」との主張を自らの手で証明することができなかった。STAP論文への疑義が出てから小保方氏が記者会見したのは、4月9日の1回だけ。検証実験について公の場で語らぬまま、STAP細胞の存在は事実上否定された。

 記者会見後の小保方氏について、代理人弁護士は「入退院を繰り返すなど精神的に不安定になっている」と再三説明、論文の不正認定や撤回による動揺の大きさを強調していた。

 その中で、小保方氏が強い意欲を示したのが検証実験への参加だった。論文撤回に同意後の6月、小保方氏は「生き別れた息子を早く捜しに行きたい」と述べたとされるほか、当初は拒否していた論文撤回に応じたのも「本意ではないが、検証実験に参加するためには同意した方がいいと考えた」からだという。

 検証実験の部屋では第三者が立ち会い、2台のカメラが24時間監視するという異例の環境だったが、小保方氏は体調に合わせて出勤し、実験を進めていた。一方、時々長椅子で横になる様子が確認されるなど「元気といえば元気だが、そうとも言えない」(関係者)面もあったという。

 8月には指導役でもあった共著者の笹井芳樹氏が自殺。関係者は「大きなショックを受けて号泣していた」と振り返る。同月末の検証チームの中間報告でも小保方氏は発表に同席せず、理研側は実験の進行状況も明かさなかった。

 「生物学の常識を覆す成果」との触れ込みでSTAP論文が発表された当時、取材に「いつか世界に貢献するため研究を続けている」と答えた小保方氏。検証実験への参加前、「存在を実証するために最大限の努力をする」とのコメントを出したが、その努力が実ることはなかった。【清水健二】
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000e040168000c.html


STAP問題:小保方氏を「犯罪者扱いしての検証」と謝罪

毎日新聞 2014年12月19日 13時04分(最終更新 12月20日 10時15分)


 「STAP細胞は再現できない」と結論づけた理化学研究所の19日の記者会見終了直後、検証実験の責任者である相沢慎一チームリーダーが突然、謝罪する一幕があった。

 2時間あまりに及ぶ記者会見が終了し、報道陣が退室を始めた午後0時45分ごろ、相沢氏がマイクを握って再登壇。「検証実験は、(小保方晴子研究員を監視するための)モニターや立会人を置いて行われた。そういう検証実験を行ったことは、責任者としてものすごく責任を感じている。研究者を犯罪人扱いしての検証は、科学の検証としてあってはならないこと。この場でおわびをさせていただく」と述べ、頭を下げた。【デジタル報道センター】
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000e040225000c.html

制度上、STAPはSTOPということになったわけだ。
ここで、問題は生物学を離れて、知覚心理学或いは認知科学の領域に移る。(意図的な捏造でない限り)小保方晴子がSTAPと見紛う現象を知覚してしまったという経験は存在し、そういう知覚経験の機制は心理学的に解明されてしかるべきだからだ。また、その心理学的解明は法律的にも有意味になってくるだろう。錯覚なのか意図的捏造なのかということは、円満退社と懲戒免職の分岐点となるだろう。と思ったら、その日のうちに、小保方晴子「退職」という報道が;

STAP問題:小保方氏、理研を退職 「魂の限界」

毎日新聞 2014年12月19日 11時18分(最終更新 12月20日 10時16分)


 理化学研究所小保方晴子研究員が、21日付で理研を退職することが分かった。15日に退職願が理研に提出されていた。【デジタル報道センター】

 理化学研究所退職に伴う小保方晴子氏と、同研究所の野依良治理事長のコメントは以下の通り。
 ◇小保方晴子

 どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3か月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。

 私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を以て退職願を提出させていただきました。最後になりますが本検証実験にあたり検証チームの皆様はじめ、ご支援・応援してくださった方々に心より御礼申し上げます。

2014年12月19日 小保方 晴子
 ◇野依良治理事長

 STAP論文が公表されてからこの 10ヶ月間余り、小保方晴子氏にはさまざまな心労が重なってきたことと思います。このたび退職願が提出されましたが、これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。

 前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています。
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000e040186000c.html


STAP問題:小保方氏退職でも懲戒を議論 理研

毎日新聞 2014年12月19日 12時01分(最終更新 12月20日 10時16分)


 STAP細胞論文をめぐる不正問題で、理化学研究所は19日、論文の実験を主導した小保方晴子研究員(31)が退職しても、懲戒の議論をする方針を明らかにした。

 理研は19日午前、東京都内でSTAP細胞の有無を確かめる検証実験の結果に関する記者会見を開催。坪井裕理事が質問に答えた。

 小保方氏は2013年3月、神戸市にある理研発生・再生科学総合研究センター(当時、CDB)の研究ユニットリーダーに着任。弱酸性の刺激を加えるだけで細胞が初期化し、万能細胞(STAP細胞)になることを報告する論文を発表した。

 その後、不正が発覚。研究不正は理研の懲戒対象に該当するため、5月に懲戒委員会が発足したが、理研は「新たな不正の指摘の調査を待って検討する」などとして、懲戒に関する議論を停止していた。しかし、19日の会見で小保方氏が提出した退職願を理研が受理することが判明した。

 坪井理事は会見で、退職願受理の理由を「小保方氏の心労を考慮した」と説明。「退職を認めて理研職員でなくなっても懲戒手続きは再開する。『○○処分相当』という検討をすることになる」と述べた。退職金については「任期制なので退職金はそもそもない」と説明した。

 一方、理研は11月、CDBを「多細胞システム形成研究センター」と改称するなど組織改革を実施。これに伴い、小保方氏の研究ユニットは廃止されている。【デジタル報道センター】
http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000e040206000c.html

これもよくわからない。「懲戒」を考えているんだったら、「退職願」を受け取ってはいけないでしょう。「懲戒」されようがされまいが、組織を離れた小保方には痛くも痒くもないわけだ。一方、理研としては、世間に対して、ちゃんと小保方を処分しましたよという〈事実〉を示すことができる。(昔の自民党の政治家が好んだ言い方だと)もう禊ぎは済んだよということになるのだろう。
「真相はまだヤミの中」じゃないかと問いかける『東京新聞』の社説には共感できる部分が多い;

STAP細胞 真相はまだヤミの中

2014年12月20日

 STAP細胞の存在は証明できず、事実上否定された。理化学研究所は検証実験を打ち切るが、存在しない細胞の論文がどのように作成されたのか、という問題の核心は、まだ、闇の中である。

 理研はSTAP細胞の存在を確認するため、四月にチームをつくって検証実験を進めてきた。論文の筆頭著者だった小保方晴子研究員は七月からチームに参加し、監視カメラ付きの部屋で実験の再現に取り組んできた。

 論文の共著者である理研丹羽仁史氏らも四月から、小保方氏が関わらない形で検証実験を続けてきた。

 理研は今回、どちらの実験でもSTAP細胞は作製できなかったとする検証実験結果を公表。来年三月までを予定していた丹羽氏らの実験は、続ける意義がなくなったとして打ち切ることとした。

 「夢の万能細胞」をめぐる研究不正の疑惑は、今年一月にネイチャー誌に論文が掲載された直後から次々と浮上。七月には論文撤回に追い込まれ、科学研究の成果としては白紙に戻っていた。

 このような経緯をたどってきたため「存在は確認できない」との結論には何の驚きもないが、理研としては、これで、細胞の存否問題に決着をつけたことになる。

 しかし、解明すべき問題は、細胞の存否だけではない。

 STAP細胞と呼んでいたものは何だったのか。なぜ、存在しないSTAP細胞の論文がもっともらしく出来上がったのか。ピンクの壁紙の実験室や割烹(かっぽう)着姿まで強調した狙いは何だったのか。手のひらを返したようなカメラでの実験監視にも違和感が残る。

 不正が起きた経緯は、まだまだ闇の中である。その経緯を明らかにしなければ、社会の納得は得られないだろう。

 論文の画像捏造(ねつぞう)や改ざんを認定した後も、理研自身の疑惑解明の動きは鈍かった。日本学術会議が「研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない」と強い調子で問題点の解明を促したほどである。

 科学には、独創的な発想と自由に研究できる環境が欠かせない。そうした研究環境を守るには、学術研究に対する国民の信頼感、期待感が欠かせない。

 理研の調査委員会は来月、調査結果をまとめる。今後の日本の科学を支える若手が存分に力を発揮できるようにするためにも、不正論文が世に出た経緯を徹底的に解明し、国民が感じている疑問の数々に答えなければならない。
.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014122002000132.html

小保方さん、これからどうするのだろうか。幸福の科学大学教員に転ずるという可能性は少なくともここ数年はありえなくなったし*2。行太郎は頼りなさそうだし。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140315/1394904519 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140318/1395108929 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140613/1402655450 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140629/1404056302 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140630/1404104626 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140701/1404181587 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140706/1404668892 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140714/1405306381 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140718/1405614505 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140719/1405733823 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140724/1406217056 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140801/1406824871 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140802/1406943404 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140805/1407234173 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140808/1407425853 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140809/1407591494 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140810/1407636145 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140811/1407771956 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140813/1407860802 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140819/1408461044 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140822/1408678417 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140827/1409149926 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140828/140919914 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140903/1409682036 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140907/1410063860 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140913/1410625851 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140914/1410659469 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140915/1410749257 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141008/1412732195 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141017/1413517431 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141114/1415970524 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141128/1417173694 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141218/1418877881

*2:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141029/1414579989