柏崎にSという男がいたけれど

『毎日』の記事;

<倉敷女児不明>自宅で監禁の49歳男逮捕 女児は無事保護

毎日新聞 7月20日(日)1時12分配信


 ◇不審者情報などで浮上し捜索、1階洋間で女児発見

 岡山県倉敷市内で今月14日夕、下校途中の小学5年生の女児(11)が行方不明となった事件で、岡山県警は19日午後10時20分ごろ、女児を岡山市北区楢津、無職、藤原武容疑者(49)宅で発見した。無事保護するとともに、一緒にいた藤原容疑者を監禁容疑で現行犯逮捕した。県警は同日、倉敷署に捜査本部を設置。動機や事件の経緯などを詳しく捜査する。


 藤原容疑者は「女児は車で連れてきた。監禁していたのは間違いありません」と容疑を認めているという。女児にけがなどはなく、念のため病院に搬送されたが、異常がないことが確認された。藤原容疑者は女児やその家族と知り合いなどではないという。

 県警によると、女児の母親が事件前の今年5、6月に自宅近くで目撃した不審車の特徴やナンバーと、不審車を目撃した住民の証言などをもとに絞り込んだところ、藤原容疑者が所有する岡山ナンバーで銀色の「トヨタ・ヴィッツ」が浮上した。19日夜、家宅捜索令状を取って藤原容疑者宅を捜索したところ、1階洋間で女児が見つかり、保護された。

 発見当時、女児はパジャマ姿でテレビを見ていた様子だったといい、捜査員が踏み込むと、驚いた様子で「何、何」と声をあげた、という。藤原容疑者は自称イラストレーター。逮捕時、家には女児と2人でいた。藤原容疑者は白色Tシャツに黒の短パン姿。逮捕には素直に応じた、という。

 女児は今月14日、午後4時ごろ1人で学校を出た。同4時半ごろ、学校から約2キロ離れた自宅近くで、銀色の車に乗った男が女児に話しかけているのを同級生に目撃されたが、そのまま帰宅しなかった。

 母親は同5時半ごろ、女児の携帯電話の位置をGPS(全地球測位システム)機能を使って確かめたところ、自宅の約2キロ北東を示した。母親は県警に届け出て周辺を捜索したが、女児は見つからなかった。

 母親は5月上旬と6月、自宅近くで銀色の車に乗った男を目撃。5月には、下校中の女児に車がつきまとうような動きをしたという。

 県警は15日、女児が行方不明になったことを発表し、公開捜査を開始。GPSの反応が最後に確認された地点で携帯電話やランドセルを捜したり、防犯ビデオやドライブレコーダーの映像を分析したりしていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140720-00000003-mai-soci

関係者もやっと胸を撫で下ろしたというところか。
See also


nazuna89「岡山市で小5女児 森山咲良さん監禁容疑で藤原武容疑者(49)逮捕」http://matome.naver.jp/odai/2140542994896159101


さて、メディアによる藤原武*1の構築の仕方に異議が出ているようだ。


Record China 7月23日(水)1時16分配信
日本で女児誘拐頻発、容疑者の多くは少女漫画愛好=誘拐事件は10年前の2倍に―SP華字紙


2014年7月22日、シンガポール華字紙・聯合早報によると、岡山県倉敷市で下校中の小5女児(11)が行方不明になった事件で、監禁容疑で逮捕された無職、藤原武容疑者(49)=岡山市北区楢津=の自宅から大量の漫画が見つかった。


藤原容疑者は警察の調べに対し「漫画が好きだ」と供述。警察が自宅に踏み込んだ際、部屋のソファに座り、少女の様子をじっと見ていたという。部屋には防音工事が施され、音が外に漏れないようになっていた。警察は藤原容疑者が少女を刃物で脅して連れてきたとみて調べている。

日本の警察の統計によると、誘拐事件は10年前の2倍に増えている。日本の社会学者によると、誘拐犯の多くは少女漫画を好む傾向があるという。名古屋で過去に起きた少女誘拐事件で、容疑者は「漫画の登場人物と同じようにかわいかった」と供述していた。(翻訳・編集/AA)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140723-00000002-rcdc-cn

「日本の社会学者」って誰だよ。


女児監禁の藤原武「調教して好みの女性にして18歳になったら結婚したかった」
2014/7/22 12:39


岡山県倉敷市の11歳女児の監禁事件で19日(2014年7月)に逮捕された藤原武容疑者(49)は、警察の調べに対して「調教して自分好みの女性にして、18歳になったら結婚したかった」と供述しているという。

昨年11月ごろ、母親が介護施設に入居し一人暮らしになった藤原は、約1000万円をかけて自宅をリフォームし、外から施錠できる防音の窓のない部屋を作った。その後、今年4月頃から被害女児の自宅近辺で、藤原と思しき男が不審な行動を取っているところをたびたび目撃されていた。
防音部屋には少女アニメのポスターや監禁ビデオ

阿部祐二レポーター「やはり、長期的にこの11歳の女の子を付け狙っていたんじゃないでしょうか」
現実と区別つかず

キャスターのテリー伊藤「監禁部屋(防音部屋)に、少女アニメのポスター貼ってあったっていう話もあんですよ。少女監禁ビデオみたいのもあるから、それを見ていてどんどん妄想ふくらんでって、現実とビデオの世界とが自分でわからなくなってきた。そういうことも藤原容疑者には当然あるんでしょうね」

文 | 似顔絵 池田マコト
http://www.j-cast.com/tv/2014/07/22211054.html

それに対して、

2014.07.22
岡山女児行方不明事件 犯人趣味の報道の仕方に「オタクを犯罪者に結びつけようとしている」
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 岡山県倉敷市で行方不明となっていた小学校5年生の女子児童(11)が、無事保護された事件で、逮捕された男(49)が犯行を起こした動機と、現場の状況が徐々に報道を通じて明らかとされている。

 女子児童は7月14日、下校途中に行方が分からなくなっていた。岡山県警は15日に公開捜査に切り替え、広く情報を求めたところ、18日に近所の住民が4月下旬に車のナンバープレートを偽装した不審車を見たと通報。その際住民は正規ナンバーも目撃しており、目撃された正規ナンバーが、今回行方不明になった女子児童の母親が、以前自宅付近で目撃していた、不審車のナンバーと一致したため、捜査は大きく進展。19日に女子児童発見・保護、同時に犯人逮捕に至っている。


■犯人の人物像や逮捕時状況の報道

 複数報道によると、逮捕された男は約30年前に両親妹とともに家族4人でこの地に越してきたが、数年前父親が他界。事件の約1年前には母親が老人ホームに入り、以来男はこの家に独りで住むようになっていたという。
そして昨年末には約1000万円をかけ、自宅をリフォーム。4畳半の1室には防音がほどこされ、外から鍵がかけられるようになっていた。

 女子児童発見当時の状況として、女子児童は布団の上に寝そべりアニメを見ていたという情報や、その後の取材として男の家の一室にはアニメのポスターが天井、壁に貼られていたという情報、そして男を知る人物からの話として「アニメ好きだった」という声などが伝えられている。

 なお、犯行の動機については、22日報道によると、捜査関係者への取材で分かった情報として、逮捕された男は「好み通りに育て、結婚するつもりだった」と供述していると伝えられている。

■アニメばかりに着目した報じられ方にネットで疑問の声

 男が逮捕されて以降、発見時に女子児童がアニメを見ていたという話や、男がアニメ好きだった、室内にはアニメのポスターが貼られていたなどの話がやけに目につく形で報じられている。

 今回の事件に限った話ではないが、何か事件が起きた際に、犯人の趣味にアニメ、ゲーム、漫画などがある場合、特徴として大きく報じられてしまうことがある。
対し、犯人の趣味が例えばゴルフ、麻雀、好きなテレビがバラエティなどの場合には、ほとんど触れられない、もしくは触れられても軽くしか扱われない傾向が強い。

 こうした報道の傾向について、ネットでは批判の声が高まっている。
中でも「偏向報道」「オタクを犯罪者に結びつけようとしている」という声が最も多く見られた。
http://otakei.otakuma.net/archives/2014072201.html

まあ、安易といえば安易だけれど、宮崎勤*2以来のクリシェということか。「オタク」としてみれば、〈三次元〉に未練たらたらの〈二次元〉世界を十全に生きられない未熟者の犯行だ、と返しておけばいいだろう。以前「酒鬼薔薇にしても金川真大にしても、その最大の罪は、自らの妄想を昇華しフィクションとして洗練させていくという途を歩まず、ベタにアクティング・アウトしてしまったということにあるだろう」と書いたことがあるのだが*3、このことは藤原にも当て嵌まるだろう。
また『産経』の記事;

岡山女児監禁 異様な動機の背景は…専門家「空想にブレーキかからず」

産経新聞 7月23日(水)12時19分配信


 岡山県倉敷市の小5女児(11)の監禁事件で、逮捕された自称イラストレーター、藤原武容疑者(49)=岡山市北区=は「自分好みに育てたかった」と供述した。異様な動機の背景に何があるのか。専門家は「対人関係を築くのが不得手で、支配しやすい女児を狙った」「空想を止める社会的絆がなかった」と指摘している。

 東洋大学桐生正幸教授(犯罪心理学)は今回の事件を「歪んだ恋愛感情が行きすぎたもの。一方的に恋愛感情を持つという意味ではストーカー事件に近い」と分析。さらに「人間関係をうまく構築できないタイプ。だからこそ、コントロールしやすい小さな子供を狙ったのでは」と語った。

 新潟青陵大学大学院の碓井(うすい)真史(まふみ)教授(社会心理学)は、容疑者の周辺環境に「家族や友人、やりがいのある仕事といった『社会的絆』がなかった」とみる。その上で「自分と社会をつなぐものが何もなく、空想にブレーキがかからなかったのだろう」と話した。

 女児を狙った理由は「大人の女性から愛と尊敬を得る自信が全くなく、『女児なら自分の思い通りになるだろう』という歪んだ思考で犯行に及んだ可能性が高い」とした。

 女児監禁事件は今年1月、相模原市と札幌市でも相次いで発生したが、今回は「防音室を作るなど長期の監禁目的がうかがえるのが特徴」と分析。女児の抵抗を抑えるため、「刃物と凶器で縛る一方、テレビを見せたり、お菓子を与えるといったご褒美を出すという、アメとムチで支配したのではないか」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140723-00000522-san-soci

碓井真史氏の談話は興味深い。「ブレーキ」とはネガティヴ・フィードバックのこと。ネガティヴ・フィードバックを欠いたシステムは自滅的に暴走する可能性が大なのだ*4
さて、1990年代には、新潟県柏崎市の佐藤という男が自らが拉致した少女を自宅に9年以上監禁するという事件があった*5。今回の岡山の事件から佐藤のことを思い出した人も少なくないのではないか。その佐藤がアニメやらヴィデオやらにインスパイアされたのかどうかはわからない。
また、〈監禁〉のフィクションとして、ジョン・ファウルズの『コレクター』をマークしておこう。