http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140611/1402495986に対して、
多分当時中国国外では、文化大革命の真相というのは見えてなかったのではないかと思います。中国側のプロパガンダや西側メディアの断片的な報道から、自国の学生運動と類似したものというか、若い連中(孫悟空!)がちょっと跳ね上がってるね、という感じだったのではないでしょうか。「つるしあげている側」という表現がありますけど、文革=紅衛兵が学校の幹部や共産党の幹部を吊し上げるというよく広まっているイメージは間違っているわけではないのですが、かなりミスリーディングなものなのではないかなと思います。つまり、文革の本質は吊し上げにはない。強いて言えば、大量虐殺(ジェノサイド)なのではないか。勿論その当時は見えていなかった。たんに中国や中国シンパが真相を隠蔽していたということだけでなく、当時の反中国(共産党)勢力、例えば国民党(台湾)や蘇聯、日本国内でいえば日本共産党も、そこまで惨い事実は把握していなかったのではないか*2。文革中に4桁や5桁の虐殺が頻発していたということが明るみに出たのは、歴史研究の進んだ1990年代以降なんじゃないでしょうか。
nessko*1 2014/06/13 12:43
あのころ共産圏にユートピアを幻視するというのは、当時の西側先進国のミドルクラス以上の一部の人の特権的夢想だったのかもしれないですよね。
読んでさすがにちょっと「?」になるのは、宇沢先生は文化大革命を見て、あんなことになったら自分が殺されるかもしれない、とは思わなかったのかなあ、ということです。昔学生運動が盛んだった頃暴れていた若い衆が、文化大革命見てよーっし! やったるぞ! みたいになるのはわからないでもないですけれども、宇沢先生になるとそういう若い衆に襲われる側になるんじゃなかったのでしょうか?
インテリ業界内で自分が味わう鬱屈から異国の情景を見るとつるしあげている側に自分を投影できたのかもしれないですが、私にはそのあたりがよくわかりません。
毛沢東はなんだかんだいっても後世での評価は「えらい人」になると思います。歴史上の重要人物ですよね。ですが、ポルポトになると、二流のインテリが怨念にとらわれてとんでもないことをしたという、わりと犯罪実話寄りの話になりそうなんですよね。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140611/1402495986#c1402631000
文革礼賛ということで、花崎皋平先生の1982年の文章;
第二次世界大戦後の二〇世紀後半の現代史は、大局からみれば、資本主義の没落と第三世界における民族解放をつうじて社会主義建設へといたる革命の成功の時代として特徴づけられるであろう。一九四八年の中国革命*3を皮切りに、一九六〇年のキューバ革命、一九七一年のベトナム=インドシナ三国解放革命の勝利へと、第三世界人民は一歩一歩その威信をたかめ、世界史の発展の主要な力となってきている。
そうした第三世界革命の勝利は、農村に根拠地をきずき、生活・生産・闘争を一体のものとして遂行する人民戦争をつうじて都市を包囲攻略する新しい革命路線の成功を意味していた。革命後の社会建設も、農業を基礎に置き、農村に自力更生にもとづく自治共同体をきずこうとするものであった。現在、ゆりかえしにぶつかっているとはいえ、分業の固定化を否定し、共産主義をめざす永続革命の意識の高揚をめざした中国の文化大革命は、パリ・コミューン以来の理想主義に燃えた企てであった。(「『ゴータ綱領批判』 マルクスの未来社会論」in 望月清司ほか『マルクス 著作と思想』、p.282)
マルクス 著作と思想―〈現代〉を解く鍵の再発見 (有斐閣新書)
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さて、文化大革命と同時代的に起こったチェコスロヴァキアの〈プラハの春〉と蘇聯によるその圧殺。これは或る面においては、世界の共産党を脱モスクワ化させる契機ともなった。蘇聯の侵略と民主化圧殺を西班牙共産党や希臘共産党も公然と批判した。当時西班牙や希臘は右翼軍事独裁政権の支配下にあり、どちらの国の共産党も指導部ごと蘇聯に亡命して、党の存立を蘇聯に全面的に依存している状態だった(河合秀和「ヨーロッパの社会主義と共産主義」 in 『政党と階級』、p.266)。
- 作者: 河合秀和
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1977/07
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*1:http://d.hatena.ne.jp/nessko/
*2:知っていたら、当然中国バッシングのネタに使っていたでしょう。
*3:1949?
*4:See eg. http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100110/1263125320 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100728/1280280055