- 作者: 唐亮
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/06/21
- メディア: 新書
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唐亮『現代中国の政治』*1を数日前に読了。
中国の政治制度についてあまり馴染みがないという人には、特に第二章はお薦め。
はじめに――中国の政治変容をどう見るか
第一章 一党支配と開発独裁路線
第二章 国家制度の仕組みと変容
第三章 開発政治の展開
第四章 上からの政治改革
第五章 下からの民主化要求
おわりに――民主化の展望は開かれるか
あとがき
参考文献一覧
さて、「民主化の展望」について、基本的には正しい見方だと思うが、その一方で、ちょっと楽観的すぎるのではないかとも思う。それは、本書が胡錦涛/温家宝政権の晩期で習近平政権が成立する以前の2012年6月に刊行されたことと関係あるかも知れない。
また、思ったのは、中国のことは中国だけを見ていたのではわからないなということ。まあ北朝鮮は問題外としても、生き残った社会主義国、すなわちヴェトナム、ラオス、キューバとの比較は必要だなと思った。さらに、旧蘇聯諸国を初めとして、東欧やモンゴルなども含む既に社会主義をやめてしまった国々との比較も。先ず、中国の、特にリベラルな知識人の東欧の知識人に対する共感には特筆すべきものがある。また、現在の中国人が「民主化」に対して、以前よりもクールになっているとしたら、勿論多くの人が経済成長の恩恵を受けているとか、上からの強い圧力があるということは考慮しなければいけないのだが、旧蘇聯諸国や東欧の脱社会主義化というのがあまり巧くいっていないということも関係あるのではないか。制度としては民主化されたものの、右翼政党が政権を取ってしまったり、看板とイデオロギーを変えた旧共産党が独裁政党として民主的に居座っていたり。或いは、経済的にもぱっとしなかったり。
*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180202/1517501183