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中日新聞』の記事;


名古屋外大教授が論文盗用 17ページほぼ丸写し

2014年2月23日 09時22分


 名古屋外国語大(愛知県日進市)現代国際学部国際ビジネス学科長の井戸一元教授(58)が、高知工科大(高知県香美市)マネジメント学部の村瀬儀祐教授(69)の論文を盗用して発表していたことがわかった。井戸教授は盗用を認めており、玉井俊紀学部長は村瀬教授に文書で謝罪した。

 大学によると、盗用が明らかになったのは2012年3月の学内誌「名古屋外大紀要」に載った「日本の財務報告と会計規制をめぐる課題と解決策」と題した論文。村瀬教授からの指摘で発覚した。全28ページのうち後半の17ページが村瀬教授の論文のほぼ丸写しだったという。

 井戸教授は会計学が専門で12年から学科長。大学側の聞き取りに対し、盗用を認め、「論文を書く時間がなく、追い詰められて盗用してしまった」と釈明しているという。

 村瀬教授は「前に参照した英語の論文をインターネットで調べていたら、井戸教授の論文にたどり着いた。自分が書いた論文とほとんど同じで驚いた。常識では考えられず、きちんと調査してほしい」と話している。

 名古屋外大は24日に調査委員会を設置。盗用の経緯などを調べ、井戸教授の処分を決める。玉井学部長は「学生には普段から論文の盗用をしないよう指導している。研究者としての倫理に欠ける行為で、学科長という指導的立場にあることからも、より責任は重い。本人の意図や盗用の経緯を十分に調べた上で、厳正に対処したい」と話している。

 (中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014022390092253.html

「ほぼ丸写しだったという」という無責任な伝聞体表現はどうよ、ということはある。記事にするなら、2本の論文の対照くらいしろよ<中日新聞
ということで、上の記事は裏が取られていないのだが、「丸写し」だったとして、さらに問題なのは発覚までに1年以上もかかったということだろう。学術論文、特に大学紀要に掲載された論文を読む人は殆どいないということが改めて確認されたわけだ。責任といえば、「盗用」をした本人とともに、『紀要』の編集責任者の責任が問われるわけだろうけど、その先生だって、「会計学」専門でなければ、よほど不自然な文章を読まない限り「盗用」を見抜くことはできない。大学紀要は殆どの大学で無査読制である。こういう事件を契機に紀要にも査読制を導入する動きというのは起こるのかしら? そうした場合、また事務の煩雑化というようなことも起こるのだろけど。
学術的な盗作・剽窃については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130918/1379462503 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070824/1187889668 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20071203/1196654410 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090618/1245300472 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100108/1262948028 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100625/1277464104 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100804/1280890852 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131022/1382381264 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131023/1382506909も参照されたい。