ウタキ/オンタケ、など

『読売』の記事;


世界遺産琉球聖地、マナー悪く男子禁制を検討

 琉球王国時代(1429〜1879年)の聖地で世界遺産の「斎場御嶽(せーふぁうたき)」(沖縄県南城市)で、観光客の増加に伴い、立ち入り禁止の祭壇に上がったり、大声で騒いだりするなどマナーの悪さが目立っている。

 斎場御嶽は住民の信仰の場で、「沖縄の精神文化の象徴」とされる。管理する市は「単なる観光地ではなく、神聖な場所だと理解してもらいたい」として、かつてのしきたりにのっとり、男子禁制とする検討を始めた。

 市観光協会によると、年間1万〜2万人だった斎場御嶽の入場者は世界遺産登録やパワースポットブームなどで、昨年度は約43万8000人にまで急増した。

 観光客による“悪行”も目立つようになり、礼拝に訪れた人の横で大声を出したり、御嶽を「滝」と勘違いして水着姿で訪れる人までいたりするという。ガイドの普天間栄進さん(75)は「最近は純粋に祈りに来る人が減っている。信仰の場として世界遺産に選ばれたのに本末転倒です」と嘆く。
(2013年9月20日11時06分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130920-OYT1T00198.htm

ミスリーディングなタイトル。「マナー悪く男子禁制を検討」。これだと、(女子の「マナー」には問題ないが)「男子」の「マナー」が「悪く」、だから「男子禁制を検討」しているというふうに読み取れてしまうではないか。ここで問題になっているのは、聖なるものと観光と世俗化の関係の問題だろう*1。また「琉球王国時代(1429〜1879年)の聖地」という説明も不十分といえるだろう。「斎場御嶽*2聞得大君が直接管轄した最高の格式の「御嶽」であるといわなければならないだろう。
さて「うたき」であるが、ヤマト風の発音ではオンタケになるだろう*3。オンタケとウタキは何か関係があるのだろうか。その関係について考察した人がいるのかどうかは知らない。識者のご教示を請う。
「御嶽を「滝」と勘違いして水着姿で訪れる人までいたりするという」。千葉県船橋市の人間ではないか。「御滝山金蔵寺」(通称「御滝不動尊」)という真言宗豊山派の寺あり。「御滝」はオタキと念む*4


さて、『朝日』の記事;


厳しい修行2度、常に自然体 大阿闍梨・酒井さん死去


 【森本俊司】比叡山延暦寺に伝わる荒行「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」を2度にわたって満行した天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)の酒井雄哉(ゆうさい、さいは右上から下へのはらいがなし)さんが23日、87歳で亡くなった。厳しい修行を2度も満行したにもかかわらず、酒井さんは常に謙虚に自然体を強調し、仏への感謝の思いを口にしていた。

 修行を始めて700日目に入ると、「堂入り」という9日間の参籠(さんろう)をする。その間は断食、断水、不眠の難行とされる。「4日目くらいから死斑が出てきて、魚のくさったようなにおいがしてきてな」と過酷さを語る一方、「青く茂って、時期が来たら葉が落ちる。また来年になったら青く茂ってくる。それを見て、ああ生命っていうのは一回でおしまいじゃないんだなあ、つながっているんだなって気づいていく。こういうのが仏様からいただく『仏智(ぶっち)』なんだな」と語った。

 酒井さんは学業で落ちこぼれ、戦後に東京で経営したラーメン店が全焼。新婚間もない妻が自殺するなど様々な悩みを抱え、仏門をたたいた。そのためか、知識よりも実践の大切さを強調した。

 「勉強して知識ばかり増やすのでなくて、自分がこのくらいまでなら分かるな、と思ったら、実践していけばいいのよ。実践すれば智恵(ちえ)が出てくる。智恵が出たら、こうしてみようとか、もう少し勉強しようとか思うでしょう」

 こうした人生への深い洞察力を胸にひめながらも、わかりやすく市民に語りかけるような著作で人気を博した。
(後略)
http://www.asahi.com/national/update/0924/OSK201309230153.html

高僧の「死」に言及するには遷化若しくは入滅という言葉を使えといいたくなるが、「千日回峰行」については、藤田庄市氏*5の『行とは何か』をマークしておく。この本で藤田氏が取材しているのは酒井師ではないけど。
行とは何か (新潮選書)

行とは何か (新潮選書)