経費!

『毎日』の記事;

外れ馬券:経費と認める初判断 脱税は有罪…大阪地裁

毎日新聞 2013年05月23日 10時44分(最終更新 05月23日 12時44分)

 競馬の所得を申告せず、3年で約5億7000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた元会社員の男(39)=大阪市=の判決が23日、大阪地裁であった。西田真基裁判長は大量の馬券を自動的に繰り返し購入した場合、競馬の所得は「雑所得」に当たり、全ての外れ馬券の購入費が経費になるという初の司法判断を示した。無申告の違法性は認め、懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)の有罪としたが、脱税額を約5000万円に大幅減額した。

 判決は馬券の所得を一般的に「一時所得」とした上で、「元会社員は多数、多額、機械的、網羅的に馬券を購入しており、雑所得に当たる」と認定した。

 判決によると、元会社員は市販の競馬予想ソフトを改良した独自のシステムを構築。専用口座を開いて、インターネットでほぼ全レースの馬券を自動的に購入していた。2007年からの3年で購入した馬券は計約28億7000万円分で、計約30億1000万円の払戻金を得た。収支は計約1億4000万円の黒字だった。

 検察側は競馬の所得は一時所得であり、当たり馬券の購入費約1億3000万円だけが経費として控除できると主張、元会社員の3年間の所得を計約29億円と主張していた。

 判決はまず、「馬券の払戻金は偶発的、偶然に入り、継続性は認められず、一時所得に当たる」とした。しかし、「元会社員は無差別に一定の条件で網羅的に購入し、多額の利益を得ていた。元会社員は娯楽ではなく、資産運用の一種ととらえていた」と指摘、外国為替証拠金取引(FX)などと同じ雑所得に分類した。

 そして、払戻金から全ての馬券の購入費を経費として差し引いた、実際のもうけである約1億4000万円を競馬の所得と結論付けた。

 弁護側は「継続的な馬券購入によるFXで得た利益などと同様の雑所得に当たる。外れ馬券の購入費も経費となり、課税処分は無効」と無罪を訴えていた。

 元会社員を税務調査した大阪国税局が告発、地検が11年2月に在宅起訴した。起訴分や無申告加算税を含めた追徴税額(05〜09年)は計約10億円。元会社員は「一生かかっても完済できない」として、課税処分の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こしている。【内田幸一】

 上野友慈(ゆうじ)・大阪地検次席検事の話 判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適正に対処したい。
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e040151000c.html


大阪地裁の判決を受け、日本中央競馬会(JRA)報道室は23日、「判決内容の詳細については承知していないので、具体的なコメントは申し上げられないが、払戻金の課税については『競馬産業全体に関わる問題』といった観点から、お客様が安心して競馬を楽しめるようなものにしていただきたいと考えている」とのコメントを出した。
 ◇雑所得と一時所得

 雑所得は給与、配当、利子などの各種所得に該当しない個人の収入。必要経費を控除した金額に課税される。国税庁によると、FXや先物取引の利益、公的年金、作家以外の人が受け取る原稿料など。一方、一時所得は仕事の報酬などを除いて臨時、偶発的に受け取る収入。所得を得るために直接かかった費用だけが経費として認められる。国税庁は競馬などの公営ギャンブルの払戻金、懸賞や福引の賞金などを含めている。売り上げの一部が自治体に納められる宝くじやサッカーくじの当選金は非課税となっている。
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e040151000c2.html

税法上の問題は「雑所得」と「一時所得」の区別ということになるのだろうけど、そもそも競馬の当たりが課税されるということを知らなかったのだ。競馬の当たりを確定申告している人なんているのだろうか。課税のこともあまり知られていないし、確定申告している人もあまりいないようだ;

外れ馬券訴訟:競馬ファンも注目 「人ごとではない」

毎日新聞 2013年05月23日 11時47分(最終更新 05月23日 13時03分)

 大阪市の元会社員(39)が申告しなかった競馬の所得を「雑所得」と認定し、全ての外れ馬券の購入費を経費と認めた23日の大阪地裁判決。約10億円という巨額の税金を追徴され、「一生かかっても払いきれない」と訴えていた元会社員の弁護人は「当然の判決。検察は裁判所の判断を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と語った。

 実際のもうけ以上に税金を取られるのか−−。今回の裁判の行方を、多くの競馬ファンが注目していた。

 東京の20代の男性会社員はスマートフォンを使いインターネットで馬券を購入する。投資額は年数百万円。過去のデータなどを駆使して予想し、昨年は約530万円の払い戻しを受け、約100万円をもうけた。当たり馬券の購入費はわずか数万円で、経費の範囲によって課税される所得額は大きく変わる。

 男性はこれまで申告したことはない。「払戻金を受けた記録が金融機関の口座に残っている。被告のケースは人ごとではない」と漏らした。

 大阪市北区の場外馬券場「ウインズ梅田」。今月18日の土曜、多くの競馬ファンであふれた。30代の男性会社員は「いつも赤字。裁判のことは知っているが、申告なんか考えたことない。別世界のこと」と話した。

 日本中央競馬会(JRA)によると、昨年の馬券の売上高は約2兆4000億円。このうち、ネットでの購入が52%の約1兆2480億円を占める。専用口座を設ければ残高の範囲でいくらでも購入でき、300万人が利用するとされる。1レースで100通りを超す大量の馬券を買う人も増えているという。

 競馬は、馬券の売上高の20〜25%が国やJRAの収入となり、残りが払い戻される。100円を投じて平均80〜75円が返ってくる計算で、黒字にするのは難しい。ただ、サラリーマンの場合、年40万円を超える一時所得があると、確定申告しなければならない。

 ただ、JRAも国税当局も競馬の課税の仕組みについて積極的に広報してきたわけではない。

 競馬に関する著書などがある会社員、山本太朗さん(29)=東京=は「競馬ファンのほとんどが赤字だが、当たり馬券の購入費だけが経費なら、申告義務が生じる人は少なくないはず。馬券の購入方法も変わってきた。今回の判決でも一般の競馬ファンの外れ馬券を経費と認めておらず『もう馬券を買うな』と言うのと同じだ」と語っていた。【小林慎】
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e040171000c.html

レースが終わって、外れ馬券の紙吹雪が舞うというのは、ありがちなイメージだが、それを回収して、確定申告用として売るというのはいい商売になるのかどうか。