The River at the Centre of the World: A Journey Up the Yangtze, and Back in Chinese Time
- 作者: Simon Winchester
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 1998/02/26
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Simon WinchesterのThe River at the Centre of the World*1で、上海の呉淞口から「赤いトヨタのタクシー(a red Toyota taxi)」に乗るという記述があったのだが(p.61)、ちょっと疑問が頭を擡げてきた。管見の限り、2003年以降、上海のタクシーは全てフォルクスワーゲン*2である。何時頃からフォルクスワーゲンなのか。実はWinchesterの1年前に上海でタクシーに乗っているのだが、車のメーカーが何だったのかは思い出せない。ともかく「トヨタ」ではなかったように思う。さて東亜細亜で「赤いトヨタのタクシー」が走っている都市といえば、香港である*3。Winchesterは香港にかなり住んでいたことがあったので、香港の「赤いトヨタのタクシー」の記憶が上海の記述に混ざり込んでしまったのか。どうなのだろうか。
ところで、上海はトヨタには因縁がある。1980年代に自動車産業を構築しようと考えた上海市当局はトヨタに上海進出を打診したがけんもほろろに断られてしまった。仕方ないので、その次に話を持っていったのが独逸のフォルクスワーゲンだったという。
話は全く変わって、Kate Teltscher The High Road to Chinaに曰く、
18世紀のヨーロッパにおいては、Bootan(ブータン)はチベットの「別名(alternative name)」であった。これは知らなかったぞ。参照されているのは、
(…) [In early modern Europe]Tibet was sometimes called Bootan. These names appear to have been used interchangeably. `Bootan` did not refer to the country that we now know as `Bhutan`, rather it was an alternative name for Tibet. (…) (p.22)
Romolo Gandolfo “Bhutan and Tibet in European Cartography (1597-1800)” Proceedings of the First Internatioal Seminar on Bhutan Studies, Centre for Bhutan Studies, 2004, pp.90-136
という文献(p.270)。
The High Road to China: George Bogle, the Panchen Lama and the First British Expedition to Tibet
- 作者: Kate Teltscher
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- 発売日: 2007/08/06
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*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130219/1361242926
*2:中国語では「大衆汽車」。
*3:クラウン。日本のタクシーの中古を輸入しているということを聞いた。旧英国殖民地である香港は左側通行なので、日本の右ハンドルの車をそのまま使える。