新宿でタクシーに撥ねられてそのまま死去ということを聞いたとき、不謹慎ながら、映画的な死に方だと思ってしまった。
『毎日』の記事;
<映画監督>重傷の若松孝二さん死去 タクシーにはねられ
毎日新聞 10月18日(木)0時57分配信
東京都新宿区で12日夜にタクシーにはねられ重傷を負っていた映画監督の若松孝二さん(76)が17日夜、搬送先の病院で亡くなったことが警視庁四谷署への取材で分かった。
同署によると、若松さんは12日午後10時15分ごろ、同区内藤町の都道を横断していたところ、左側から来たタクシーにはねられた。腰などを強く打って都内の病院に搬送されたが、意識などははっきりしていたという。しかしその後、容体が急変し、17日午後11時5分に亡くなった。【黒田阿紗子】◇
宮城県生まれ。テレビ映画助監督を経て63年、ピンク映画「甘い罠」で監督デビュー。低予算の自主製作で反体制的な主張を込めた前衛的なピンク映画を量産し、学生運動の盛り上がりとあいまって若者の支持を得た。ベルリン国際映画祭に出品され、「国辱」と評された「壁の中の秘事」(65年)や、連合赤軍を追ったドキュメンタリー「赤軍−−PFLP・世界戦争宣言」(71年)、わいせつ論争を引き起こした大島渚監督の「愛のコリーダ」の製作を務めるなど、国内外からの評価を高めた。実際の事件を題材にした内田裕也さん主演の「水のないプール」(82年)などで知名度を高め、一般映画にも進出、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(08年)などが知られる。
「創作の原点は怒り」と常々口にし、近年も社会批判をこめた作品を積極的に発表。戦争で四肢をなくした兵士とその妻を描いた「キャタピラー」(10年)はベルリン国際映画祭に出品され、主演の寺島しのぶさんが女優賞を受賞。「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(12年)が話題となり、中上健次の小説を映画化した「千年の愉楽」も公開を控えていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121018-00000003-mai-soci
因みに足立正生は日本赤軍のメンバーではあるが、「連合赤軍」のメンバーであったことはない。
若松孝二監督が交通事故後に死去映画.com 10月18日(木)11時48分配信
[映画.com ニュース] 10月12日に都内で交通事故にあった映画監督の若松孝二さんが17日夜、搬送先の病院で死亡した。76歳だった。来年公開の中上健次の小説を原作とした映画「千年の愉楽」が生前最後の作品となった。
若松孝二監督作品一覧
若松さんは1963年にピンク映画「甘い罠」で監督デビュー。65年に「若松プロダクション」を創設し、「処女ゲバゲバ」「天使の恍惚」など反体制的なメッセージを込めた自主制作映画を量産、当時学生運動に参加していた若者らから絶大な支持を得る。71年には元連合赤軍メンバーで、映画監督の足立正生とパレスチナに渡りドキュメンタリー「赤軍−PFLP・世界戦争宣言」を製作。政治色の強い作品が多い中、内田裕也主演の「水のないプール」、宮沢りえや北野武も出演した「エロティックな関係」など商業映画も手がけている。
近年では08年に「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」が第58回ベルリン国際映画祭最優秀アジア映画賞(NETPAC賞)と国際芸術映画評論連盟賞(CICAE賞)をダブル受賞、10年の「キャタピラー」で主演の寺島しのぶが同映画祭銀熊賞を受賞。今年は「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」がカンヌ映画祭ある視点部門出品、「千年の愉楽」が第69回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品されるなど、国内外で精力的に活動していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121018-00000006-eiga-movi
寺島しのぶや宮台真司らが追悼 「鬼才」映画監督・若松孝二氏死す
J-CASTニュース 10月18日(木)18時33分配信
「キャタピラー」「実録・連合赤軍」などで数々の映画賞を受賞した映画監督の若松孝二さんが2012年10月17日夜、死去した。若松監督は10月12日、歩行中にタクシーにはねられ意識不明の状態が続いていた。76歳だった。
70歳を過ぎても監督、プロデューサーとして精力的な活動を続けていた若松監督。突然の訃報を知った俳優や関係者らはツイッターやブログを通じて追悼の声を寄せた。
■「悲しくて涙がとまりません」
若松映画の熱烈なファンで、長年親交を深めてきた社会学者の宮台真司さんは、自らの公式ブログに長い追悼文を掲載。大きな存在を失った心情をつづっている。
「若松孝二監督ご逝去の報に衝撃を受けています。(中略)中高生時代の僕には監督の作品が心の支え。監督なくして今の僕はない。若松監督の御冥福を心よりお祈り申し上げます」
「この文章を書きながらも、悲しくて涙がとまりません。監督がいなければ、本当に今の僕はいないのです。監督がいなければ松田政男さんの本も読まなかったし、松田さんの本を読まなかったら廣松渉さんの本も読まなかったし、そうしたら社会学に学問的な興味を抱くこともなく、社会学者になんてなっていなかった」
「『ここではないどこかにいきたい』。でも『どこかに行けそうでどこにも行けない』。僕はずっとずっとそう思ってきました。20歳代のときに海外にバックパッカーとして旅行したときもそれは変わりませんでした。30歳代を売買春フィールドワーカーとして全国巡礼して過ごしたときも変わりませんでした。そういう僕のすべてを理解して下さっていた若松監督でした」若松監督は宮城県出身。様々な職業を経てピンク映画の監督になり、「胎児が密猟する時」「ゆけゆけ二度目の処女」など強烈なタイトルの作品を連発、「ピンク映画の鬼才」として高い評価を得るようになった。71年にはドキュメンタリー「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」を撮って反体制の立場を鮮明にした。
若松監督と同様に東北地方出身で、フォーク歌手の三上寛さんはツイッターに悲しみのコメントを掲載した。
「若松孝二逝く。東北の寒村から上京。『かりん糖』屋に勤める。遂には世界の最高峰を極めた。生涯一貫して権力、権威と対峙し、ぶれることがなかった。見事な人生だった。私にとっては最後まで、『偉大なアニキ』だった! 安らかに眠れ!!!! 」
美術家でグラフィックデザイナーの横尾忠則さんもツイッター上で、同世代の表現者の死を悼んだ。
「近年の彼は何かにとりつかれたように次々と作品を連発していた。誰かが『死に急いでいる』と言っていたが、その通りになった。僕と同年だ。長い間会っていなかった」
■「一篇の詩のような美しい人生」
コメンテーターでお笑い芸人の水道橋博士も、若松監督から影響を受けた一人。ツイッターには
「昨年6月初対面でインタビューした。準備を万全にしたので75歳の監督は僕を認めてくれた。20歳のとき、監督の『俺は手を汚す』を読んだ。極道あがりの若者が活動家になり、映画を撮り続け、左翼の活動家としても最後まで革命を応援し続けた。一篇の詩のように美しい人生だった」
と記した。
「キャタピラー」(2010年公開)でベルリン国際映画祭の主演女優賞を受賞し、若松監督の遺作となった「千年の愉楽」でも主演した寺島しのぶさんは自身の公式サイトに心境を吐露した。
「いやな予感がした。やっぱり。突然いなくなってしまった若松監督。人をびっくりさせることが大好きな監督。『銀熊賞取れなかったよ。』『嘘!おめでとう』って驚かせてくださったみたいに嘘だよって言いながら現れてほしい。監督の誕生日のエイプリルフールみたいに」
「今年のベネチア映画祭に行けたのを一番に報告してくださった監督、私の出産を本当に喜んで、早く見たいと言ってくださっていた監督、心優しい監督、弱い者の味方で、強いものにはくってかかる監督、お酒と美味しいものが大好きな監督、何よりも映画を作り上げることに執念を燃やした監督。今いったい、いったいどこにいらっしゃるんですか」若松監督の公式ブログは釜山映画祭で「今年のアジア映画人賞」を受け、帰国した10月9日付で止まっている。「千年の愉楽」の公開はもう年明けに迫っていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121018-00000004-jct-soci
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