ジャン=リュック・ゴダールが世界を去った。少なからぬ人々と同様に、近々こういう時は来ると覚悟はしていた。2016年にジャック・リヴェットが他界したとき、「所謂ヌーヴェル・ヴァーグだけれど、トリュフォーはとっくの昔に別の世界へ逝き、エリック・ロメールも、クロード・シャブロルも、さらにはアラン・レネも鬼籍に入り、残っているのはゴダールだけになったのか」と書いたのだった*1。アンナ・カリーナもアンヌ・ヴィアゼムスキーも、またジャン=ポール・ベルモンドも既にこの世にいない*2。しかし、その衝撃から距離を取って言語的に表出するということがなかなかできないでいる。ということで、NHKの報道を貼って、時間を稼ぐことにしたい。
仏映画の巨匠 ゴダール監督死去 91歳
2022年9月13日 23時09分
フランスの主要メディアは、13日、フランス映画界の巨匠、ジャンリュック・ゴダール監督が死去したと一斉に伝えました。91歳でした。
ゴダール監督は、1950年代から60年代にかけてフランスの映画界に新風を吹き込んだ「ヌーベルバーグ」の旗手として知られています。
1960年に公開した、映画「勝手にしやがれ」のほか、「気狂いピエロ」など数々の作品を手がけ、その作風は世界の映画人に大きな影響を与えました。
そして、1965年のベルリン国際映画祭では「アルファヴィル」が最高賞の金熊賞を受賞したほか、1983年にはベネチア国際映画祭で「カルメンという名の女」が最優秀賞の金獅子賞を受賞するなど国際的にも高い評価を受けてきました。
一方で、1960年代後半から一時期、商業的な映画からの決別を宣言し、政治的な映画の製作に取り組んだこともあります。
ゴダール監督は近年も映画製作に携わり、2014年には「さらば、愛の言葉よ」でカンヌ映画際の審査員賞を受賞しました。
フランスの大手紙ルモンドは、「ゴダール監督はフランス映画界に長く影響を与え続けた。その作品と人生は革命以外の何ものでもなかった」と功績をたたえています。
フランスの主要メディアによりますと、ゴダール監督は13日に亡くなったということです。
91歳でした。
マクロン大統領「国の宝でもある天才のまなざしを失った」
フランスのマクロン大統領は、ツイッターに「ジャンリュック・ゴダール氏は『ヌーベルバーグ』の最も象徴的な映画監督として、現代的で自由な気風の作品を生み出してきた。私たちは国の宝でもある天才のまなざしを失ってしまった」と投稿しました。
フランス有力紙“スイスで「自殺ほう助」受けた”
フランスの有力紙、リベラシオンなど複数のメディアによりますと、ゴダール監督は、安楽死を望む人に医師が薬物を処方することが一定の条件のもとで許されているスイスで、「自殺ほう助」を受けて亡くなったということです。またリベラシオンは、監督の家族に近い人物の話として「監督は病気ではなかったが、疲弊していた。そのため終わらせることを彼が決断した」と伝えています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220913/k10013816591000.html