ファシストはイケメン？ - Living, Loving, Thinking, Again

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120625/1340630335に対するコメント；

Talpidae*1 2012/06/27 21:36
今日、わざと黒シャツにして黒でかためていったのに、誰もファシストだと言ってくれなかった。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120625/1340630335#c1340800560

これを読んで思い出したのは李欧梵老師の「《色、戒》：従小説到電影」というテクスト（『看電影』*2所収）。李安の映画『色、戒』*3で梁朝偉（Tony Leung）が演じるところの「易先生」の歴史的なモデルである「漢奸特務頭子」丁黙邨は（映画とは違って）イケメンとは程遠い禿の中年男だった。ここに、李老師はルキノ・ヴィスコンティやベルナルド・ベルトリッチが構築したイケメンで「頽廃」的なファシストというイメージの影響を見ている。ベルトリッチの映画として挙げられているのは『暗殺の森（Il Comformista）』で、ほかにも直接的な影響（例えば「曹先生」襲撃の場面）が指摘されている（pp.164-165）。ヴィスコンティについて具体的な映画の題名は言及されていないが、（常識的に考えて）『地獄に堕ちた勇者ども』であろう。さて、アンゲロプロスの『旅藝人の記録』のファシストというのはそうしたファシストのパロディでもあったわけだ。