1975年か

小谷野敦「新八犬伝真田十勇士http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110816


曰く、


私は小学校五、六年のころ、NHKの人形劇「新八犬伝」を夢中で観ていたのだが、もちろん当時はビデオなどなく、しかし最後のぎりぎり、1975年1月ころ、テレビの音が入るラジカセを買って、音だけ録音した。犬江親兵衛が出現するあたりだ。

 世間では「新八犬伝」が人気がある、と気づいたのが遅かったため、当時関連本はほとんどなく、次の番組の「真田十勇士」が、二匹目のどじょうとばかり関連本がやたらと出ていたのが可笑しかった。まあこれは半分くらい失敗作だった。ナレーションはアナウンサーで、二年目から熊倉一雄にしたが、その分だけ対象年齢が下がってしまった。

 しかし、私はその「真田十勇士」をもせっせと録音していたのである。しかし、中学生の小遣いでは、すべて録音するだけのカセットテープは購入できない。だから後から消すことになるのだが、その際私は、聴きながら全シナリオを書き写してから消していたのである。想像するだに恐ろしい。しかも途中から、動きも記録しようと思い始めて、全部絵コンテ式に観ながら記録していたのである。単なる動きだけではなく、カメラのズームインまで書き込んでいた。狂気であった、と思う。 

『新八犬伝』はけっこう熱心に視ていたが、『真田十勇士』は最初の数か月は視た記憶があるというに過ぎない。ナレーターが途中で熊倉一雄に替わったというのもこれを読んで初めて知った次第。1975年4月放送開始だったのか。「関連本がやたらと出ていた」ということだが、原作(?)の柴田錬三郎『猿飛佐助』と『真田幸村』が文春文庫から出たので、買って・読んだが、amazon.co.jpで調べたら、どちらも1975年3月の初版だった。
猿飛佐助 真田十勇士 (文春文庫 柴錬立川文庫 1)

猿飛佐助 真田十勇士 (文春文庫 柴錬立川文庫 1)

真田幸村 (文春文庫―柴錬立川文庫)

真田幸村 (文春文庫―柴錬立川文庫)

それから、小谷野氏とは実年齢では1つ違いだが、学年では2つ違いだったということにも気づく。