惜しかったのは海老蔵

市川海老蔵が殴られた事件に触発されて何事かを書こうとしたのだが、一旦はやめてしまった。しかし、http://blog.livedoor.jp/kangaeru2001/archives/52091314.htmlを読んで、ちょっと無駄口を叩いてみたいと再度心変わりした。
中村正直訳の『西国立志篇』の影響が物凄かったというのはその通りだけれど、「武士」=「ニート」というのはどうよとは思った。しかし、「武士」の中でも制度的・構造的に「ニート」たらざるを得ない人たちがいたことも事実だろう。例えば家督を継げない〈部屋住〉たち。彼らは婿養子の口がない限り、生涯実家で燻っていなければならなかったわけだ。また、禄だけ貰って無役の連中もいた。市川海老蔵が関係するのはここから。海老蔵が殴られたと聞いたとき、これは役者としてのチャンスじゃないかと一瞬思ったのだ。市川右太衛門北大路欣也という親子に受け継がれてきた旗本寄合席*1・早乙女主水介、すなわち《旗本退屈男*2 を奪えるのではないか。何しろ特殊メイクではなくて本物の〈向こう傷〉があるのだから。しかし、殴られたのが額ではなく顎だったということがわかって失望した。俺が裁判員だったら、額ではなく顎を殴ったということを以って、犯人の懲役年数を最低10年は多くすると思う。

*1:史実としては、「寄合」は3000石以上。主水介は1200石なので実は「寄合」ではないことになるが。

*2:See http://www.asahi-net.or.jp/~uy7k-ymst/hatatai/taikutu1.htm