猟師が減っている 

承前*1

『読売』の記事;


増える害獣、減るハンター…駆除に支障


 イノシシやシカなどによる農作物への被害が後を絶たない中、自治体がハンターの確保に頭を悩ませている。

 狩猟免許試験受験者への補助金を出したり、試験回数を増やしたりしているが、減少に歯止めがかからず、市町村が招集する有害鳥獣捕獲隊の編成にも支障が出ている。

 環境省によると、全国の狩猟者登録証交付件数は2008年度は約15万2000件と1998年度に比べて約5万件減少した。背景には山間部の過疎化や、農閑期に狩猟を行う農家の高齢化などがあり、長崎県佐世保市で07年に起きた銃乱射事件以降、銃規制の強化などで猟銃を手放す人も増えているという。

 一方、害獣による08年度の農作物の被害額は約199億円に上り、前年比約14億円増加(農林水産省調べ)。イノシシやクマが住民を襲うケースも頻発している。

 このため、熊本県では今年度、試験回数を年3回から5回に増やし、試験日程も2日間から1日に短縮。山口、大分県も試験回数を増やしたほか、福岡県は05年度から休日に試験を実施している。熊本県天草市では09年度から、受験費用を合格者に限り1万円まで補助。山口県周南市大分県中津市などでも、申請手数料などを補助している。

 しかし、山口県では試験回数を増やした09年度の受験申請者数は前年に比べ43人増の235人となったが、今年度は172人にまで落ち込んだ。天草市でも、補助金の支給を始めた09年度は、試験合格者数が前年度より62人増え96人となったが、今年度の合格者は10月末現在、わずか4人に激減している。

 天草市では農家などから駆除要請があった場合、地区ごとに捕獲隊を編成しているが、地区によっては2、3人しか集まらず、20〜30キロ離れた別の地区の協力を求めることもあるという。

 大分県椎茸農協(大分市)の久々宮栄次さん(62)は「シカやサルによる被害は年々拡大している。県などに毎年駆除を要請しているが、本格的な捕獲作業を行ってもらえず、シイタケ栽培をやめていく仲間もいる」と話している。

 財団法人・自然環境研究センター(東京都)の常田邦彦・研究主幹は「耕作放棄地の増加もあって人里に下りてくるイノシシやシカが急増している。職業的に狩猟にかかわる人を増やすなどし、計画的に駆除に当たる必要がある」と指摘している。(池田圭太)

 ◆狩猟者登録=網・わなや猟銃による害獣駆除を行うには、鳥獣保護法に基づき、狩猟免許試験に合格した上で、都道府県に毎年度、狩猟者登録をしなければならない。環境省によると、2008年度の狩猟者登録証交付件数は1998年度に比べ、網・わな類は約1万7000件から約3万4000件程度に増えたのに対し、猟銃類は約19万7000件から約11万8000件にまで落ち込んだ。
(2010年11月7日16時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101107-OYT1T00416.htm

ところで、http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20101107/1289112711に対する

tachibana55 2010/11/07 23:04
まあ、地元の人だからと言って、その地の自然や野生動物のことをよく知っているとは限らないわけです。私は以前、カラマツ林の多い山地の生まれで、当時もそこに住んでいた人に「カラマツってどんな木?」って聞かれて驚いたことがあります。(それもカラマツ林の中をドライブしながら・・・)その人は土地の農家の生まれでしたが、東京の大学を卒業して、大手電子機器メーカーが地元に作った工場でエンジニアをしていました。

現代人にとって、たとえ身近に存在したとしても、日々の仕事に関係ない自然なんて、所詮、その程度の関心しかないものかもしれません。

この前、「ツキノワグマは増えている」と、熊森協会と正反対の主張をされている自然写真家さんのことを書きましたが、その人は宮崎学さんという方です。(しつこいようですが、”キツネ目”の作家さんとは別人です)宮崎さんも、しばしばクマが身近に出没している地元の人が、それに気づいていないことを語っています。

http://tukinowaguma.net/archives/580

宮崎さんによれば、農家の人たちでさえ、実際に何らかの被害に遭うまではクマが身近に迫っていることに気づかないでいることが多いそうです。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20101107/1289112711#c1289138691

というコメントが興味深かった。狩猟文化の衰え、熊撃ちをしなくなって既に久しいということなのだろう。ただ、熊撃ちが行われていた頃でも、熊に関する情報、例えば冬眠している穴蔵の所在地とかはトップ・シークレットだった筈で、そういうことを余所者に話す筈はなかっただろうけど。