霊験記へ?

『朝日』の記事;


「パワースポット!」 神戸・異人館街に女性ら殺到

2010年8月22日14時0分


神戸・北野の異人館街で、運気が上がるとされる「パワースポット」が人気を集めている。願い事をかなえてもらおうと、炎天下にもかかわらず休日は列ができ、熱中症対策をとる異人館もある。

 8月の猛暑日大阪府高槻市の看護師西村茉莉子さん(28)と元同僚の稲富雅美さん(29)は、神戸市中央区北野町2丁目の異人館「山手八番館」を訪れた。お目当ては「サートゥルヌス(サターン)の椅子(いす)」。座れば願い事がかなうとされ、西村さんは「仲間内では大ブーム。ずっと行きたいと思っていた」。

 人気が出たのは5月。人生に絶望した女性がイスに座ったところ、恋人や就職ができたとの話がテレビ番組で放映された。直後から2〜3時間待ちの盛況となり、例年なら1日平均約100人の入館者が、過去最高の2700人を記録した日もあった。

 今でも平日は約400人、休日には千人以上が訪れる。熱中症対策のため、夏休み前に日よけの屋根を門前につけ、冷水器を置いた。

 異人館「うろこの家」の庭園にあるイノシシのブロンズ像「ポルチェリーノ」もパワースポットの一つ。鼻に触れると幸運を呼ぶとされ、鼻の頭は訪れる客たちに磨かれて金色に輝く。「旧パナマ領事館」の彫像「シーホース」も頭に触ると願い事がかなうとされ、「旧中国領事館」には拝むと幸運を呼ぶという狛犬(こまいぬ)がある。

 神戸の観光地は昨春に新型インフルエンザの国内初の感染例が確認され打撃を受けただけに、久々の明るい話題となっている。異人館運営会社の崎原朝香さん(46)は「にわかに注目を浴びて正直びっくり。うれしい悲鳴をあげてます」と喜ぶ。(日比野容子)
http://www.asahi.com/national/update/0821/OSK201008210068.html

宗教的ご利益についての言説には、霊験記と体験談があるように思う。霊験記は前近代からあるが、体験談は端的に近代的なもの。信仰のbefore/afterを信者の内面的な変革が一人称的に語られる。霊験記の場合は内面的な変革にも一人称性にも頓着せず。上の神戸の事例では霊験記によってご利益が伝えられていることになる。或いは、〈聖地〉を存立させるのはやはり霊験記であって体験談ではないか。
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100129/1264736175