汪暉騒動(メモ)

石剣峰「“討論此類問題不需要長篇大論”」『東方早報』2010年6月24日
丁学良「独立公正的調査是一切的前提」『新民週刊』2010年6月28日、pp.62-65
銭亦蕉「“汪暉事件”再反思」『新民週刊』2010年6月28日、pp.65-68


3月以来、中国(中国語)の学術界は〈汪暉騒動〉で揺れている。
3月25日に南京大学教授の王彬彬「汪暉《反抗絶望――魯迅及其文学世界》的学風問題」という文章が『南方週末』に掲載される。これは汪暉*1の著書『反抗絶望――魯迅及其文学世界』に剽窃箇所が多くあるという疑惑を、汪暉のテクストと剽窃されたとされるテクストを対照しながら論じた論文*2。それに対して、在米の華人学者たちが反応し、余英時や林毓生が汪暉に対して批判的なコメントを発する。特に、林毓生*3は汪暉が所属する清華大学に対して、事件に関する調査委員会の設置を要求している*4。それに対して、映画理論家で作家の李陀*5が林毓生の批判から汪暉を擁護した*6。上に掲げた『東方早報』の記事は、李陀に対する賀衛方、徐賁*7といった人々の批判的コメントを集める。『新民週刊』の「“汪暉事件”再反思」という記事は、「事件」を巡る蔡翔(上海大学中文系)、陳暁明*8北京大学中文系)、王鴻生(同済大学中文系)、王斑(スタンフォード大学)へのインタヴュー。なお、この件に関して汪暉は現在まで沈黙を保っている。『東方早報』の記事によれば、米国の(非華人系の)中国学者を中心に汪暉を支援する運動が立ち上げられているというが、日本においてこの〈騒動〉がどのように受けとめられているかは知らず。