What Money Can Buyなど

土曜日は小雨の中、2つのオープニング。
先ずは、Stir Art Gallery*1にて、馮健偉*2の『有銭能買啥(What Money Can Buy)』。馮氏の作品は2007年と2008年に観ているが、今回のテーマは(タイトルにも含まれているように)「銭」。とはいっても、生きている人間が使う貨幣ではなく、死者が使うべく燃やされる紙銭*3。紙の上に紙銭がコラージュされ、その上にアクリルによるドローイングが重ねられる。作品の多くは「無題」なのだが、中には「出生地(Birthplace)」とか「母親(Mother)」と題されたものがあり、生と死の両義性が示唆されているとはいえるだろう。また、紙銭ではなく祝儀袋(紅包)がコラージュされた「無題」の作品もあり。

そして、東画廊*4のMichael Ryanの個展。Michael Ryanは阿上海在住のアイルランド人写真家で、昨年東画廊で行われたアイルランド人写真家のグループ展『寓言』*5にも参加している。今回は、個展と同時に、写真集Propellor Girl & Other Talesも上梓している。内容はMichael Ryanの一人娘を主人公とした一夜の悪夢と冒険の物語。JFK Millerの言うように、「ゴシック」というべきか*6シュールレアルというべきか、またヴィクトリアンというべきか。

*1:http://www.stir-art.com/

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070708/1183918616 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081110/1226281445

*3:紙銭→死銭という語呂合わせは中国語においては無理。

*4:http://www.dongallery.cn/

*5:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090308/1236488908

*6:JFK Miller “Shanghai Gothic” that’s Shanghai March 2010, pp.58-59