『黄石的孩子』

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先日、Roger Spottiswoode監督のThe Children of Huang Shi*1を観た。
英国人ジャーナリストのGeorge Hoggが日中戦争中に中国の戦災孤児たちとともに、湖北省黄石から西安、蘭州を経て、沙漠の中の山丹まで中国大陸を1000キロにわたって、縦断する実話に基づいた物語。
Jonathan Rhys Meyers 演じるGeorge Hoggは取材のため、大虐殺直後の南京に潜入し、日本軍に捕まり、あわや打ち首になりそうなところを、Jackという流暢な英語を話す共産党員(周潤發)に救出される。そして、Jackの知り合いの濠太剌利人ナースLee(Radha Mitchell)とも知り合う。Hoggは最前線を取材したいというが、JackとMitchellは静養も兼ねて、湖北省の黄石に行って、先ず中国語を覚えろという。黄石に辿り着くと、そこは山の中の、そして水の畔の荒廃した孤児院。Hoggは「何克」という中国名を得て、自ら畑を耕したり、子どもたちに英語を教えたりしながら、時々巡回してくるLeeとともに、孤児院の再建に努める。しかし、黄石も日本軍の空爆を受けるようになり、国民党も孤児院の子どもたちを徴兵しようとするようになる。そこで、「何克」は子どもたちを戦火から逃すために、黄石から1000キロ西の甘粛省山丹に移動することを思いつく。HoggとLeeとJackは途中日本軍の検問を突破したりしながら、冬山を越え、3か月かけて蘭州に着き、さらに沙漠を越えて、山丹の廃寺に辿り着く。しかし、しばらくして、「何克」は病死し、山丹の土に葬られる。子どもたちが戦争を逃れて、旅をする物語ということで、この映画は荒野のSound of Musicといえるだろう。

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また、この映画は男女の三角関係の物語でもある。JackとLeeは以前恋人同士で、現在も恋愛は終わったものの親友同士。「何克」とLeeは徐々に惹かれ合ってゆき、結局は結ばれる。「何克」の死後、山丹を訪れたJackはLeeに自分と一緒に延安に来て欲しいというが、Leeは孤児たちと山丹に残ることを選択する。
それから、重要な脇役として、楊紫瓊(Michelle Yeoh)扮する黄石の女商人が登場する。彼女は物質的にも精神的にもHoggやLeeを支えるのだが、独身の裕福な女商人という楊紫瓊の役どころから、この映画は近代版『グリーン・デスティニー』という性格も有する。そういえば、山水と沙漠という空間的な対比も『グリーン・デスティニー』と共通している。この映画は、暴虐な日本の犠牲者である中国を助ける人道的な西洋という単純な構図にはなっていない。中国内部の矛盾(例えば共産党vs.国民党)を提示し、平和主義者「何克」と共産主義者Jackの微妙な対立も描き込み、「何克」やLeeのような人道的な西洋人にある〈自分探し的動機〉を告白させてもいる。
最後のタイトル・ロールのところでは、老人になったかつての「黄石の子どもたち」が「何克」の思い出を語っている。
映画では、黄石は山奥の田舎町という印象を受けたが、現在黄石は湖北省第2の都市であるという;


http://baike.baidu.com/view/7374.htm
http://www.huangshi.gov.cn/