犬を食う、など

http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20090628/1246174918にて知る。
有門大輔という人が


慰霊祭に参加した支持者が送ってくれた川崎市内の画像をご覧頂きたい。

 レストランのメニューに「犬食」の献立が記載されているのが分かるだろうか。

 犬を食するのは支那朝鮮半島の文化だが、かの地に住む者らが何を食そうとも日本の文化とは到底相容れない。

 特に犬好きの人に聞いてもらいたいことだが、在日朝鮮・韓国人と共生するということは日本国民が、こうした文化をも「許容しなければならない」ということである。

http://s01.megalodon.jp/2009-0627-0955-22/blog.livedoor.jp/samuraiari/archives/51358212.html

と言っているらしい。「川崎市内の画像」というのは上のhttp://d.hatena.ne.jp/Mukke/20090628/1246174918で確認していただきたいのだが、「パトラッシュ特製ミートローフ」ね。〈小泉特製〉だったら、もしかして、ということはあるのだが*1
ところで、犬を食うことが日本文化の一部であったことに関しては、塚本学『生類の政治』でも読んでください。さらに近い時代の話で、亀井静香氏が東京大学在学中に学園祭で野良犬を料理して売ったというエピソードは少し検索してみればすぐに見つかるのではないか。
生類をめぐる政治―元禄のフォークロア (平凡社ライブラリー)

生類をめぐる政治―元禄のフォークロア (平凡社ライブラリー)

中国において犬を食べることは全国的な文化ではなく、東北部の朝鮮族と広東人を初めとする南方人の文化であって、全中国的なものではない。東南亜細亜においてはどうなのかは知らず。張競氏が犬を食することは元々南方系の文化であって、北方系の王朝は繰り返し繰り返し禁止令を出してきたというようなことを書いていたと思うが、出典は失念。南方においても、全ての民族が食べるというわけではなく、例えば瑶族は絶対に食べない(自分たちが犬の子孫であると信じているので)。

今の中国人は、普段はほとんど犬肉を食べません。日本と同じく豚、牛、鶏肉が主体です。
犬肉を食べるのは精力増進や薬用目的で、日本でいうスッポンのような感じですね。
http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20090628/1246174918#c1246192329
漢族(広東人)にとって犬を食するのは冬を乗り切るためであって、夏に犬を食べるものではない、のぼせちゃうよとは言われる。逆に、韓国人にとっては、犬は夏の暑さを乗り切るためらしいが。
ただ、以前雲南省の(どの民族だったかは忘れてしまったが)地鎮祭儀礼の映像を見たことがある。犬を屠って、建物の敷地の四隅にその血を撒いた後に、その犬を料理して共食する。白川静先生(『中国古代の民俗』)がたしか書いていたと思うが、古代中国において犬はその嗅覚の鋭さから魔物をキャッチする呪術的力能を有していると信じられ、そのため、屡々魔除けのために殺された。犬を食べるのがそのような呪術と関係なかったとはいえないだろう。
中国古代の民俗 (講談社学術文庫)

中国古代の民俗 (講談社学術文庫)

*1:「小泉」と「小犬」の関係については、武田雅哉『〈鬼子〉たちの肖像 中国人が描いた日本人』でも取り敢えずご参照いただきたい。

See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060607/1149699429