調査について今更

世論調査(正しくは輿論調査)については、以前http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060527/1148702469とかhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060916/1158382824とかhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061007/1160196728とかhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070918/1190138993とかで言及したことがある。
さて、


http://d.hatena.ne.jp/kechack/20081225/p1


麻生内閣*1の支持率が低下しているという問題について、マス・メディアによるネガティヴなキャンペーンのせいという意見、さらにはマス・メディアによる世論調査が捏造なのではないかという意見を紹介しつつ、それらを批判している。ネガティヴなキャンペーン云々というのはここでは採り上げない。この中で、kechackさんがリンクしているhttp://plaza.rakuten.co.jp/jetfin/diary/200812160000/は、某ネット・アンケートを持ち出して、マス・メディアによる世論調査(具体的にはフジTV)を「捏造」と決め付けている。そこで、ネットのアンケートのサンプル数が80616でフジのサンプルは500しかないから後者は信用できないといっている。ワーディングを批判的に考察するならともかく、この人は統計というのが部分を以て全体(母集団)を推定するものであることとか、全体を反映する部分を獲得するためにはランダム・サンプリングが必要であるということを理解することができないようだ。要するに低学力なのであり、kechackさんもまともに相手にしてはいけないと思う。また、こうした統計的な思考は品質検査にも用いられているので、こいつが勤めている会社は製品の品質管理もまともにできない可能性が高いことが容易に想像できるということも申し上げておく。
冒頭に掲げた以前のエントリーに付け加えることは特にないとは思うのだが、少し無駄口。「自民党内での基盤が弱く党内で足を引っ張られいるのが麻生内閣特有の現象だ」*2ということだが、これを(輿論というレヴェルで)実証するのはけっこう簡単なんじゃないか。内閣支持率の調査は同時に支持政党についての質問もしている筈。支持政党と内閣支持をクロスすればいい。野党支持者が麻生内閣を支持しないのは或る意味で当然だが、自民党支持且つ麻生内閣不支持が多ければ、kechack説の妥当性は上がることになる。
また、ちょっと変なことを思いついた。クリスマス・イヴに内閣支持率の調査をしたところはないのか。クリスマス・イヴは非モテの在宅率が高いので、その夜に調査すれば、サンプル中の非モテ率は高くなる。そのことによって内閣支持率はどう上下するのか。

さて、英国王室ではダイアナ妃死去直後の反王室的な輿論にショックを受けて、調査会社を雇って独自に世論調査を行ったという(たしか、荒井利明『英国王室と英国人』に出ていたか)。自民党がマス・メディアの世論調査に疑問を持ったとしたら、このように独自に調査をする筈で、ネット調査に大喜びする程自民党も馬鹿ではないと思う。

英国王室と英国人 (平凡社新書)

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ところで、私が統計調査をこのように擁護するというのはかなりアイロニカルなことではある。