『尚書』再び

呉玉蓉、石剣峰「焚書坑儒後2000年 古文《尚書》重現」『東方早報』2008年10月24日


最近清華大学が楚地で出土した戦国期の竹簡2100枚(断片を含む)を入手した。これらの竹簡(「清華簡」)は「楚国藝術風格」を有した装飾のある漆塗りの木笥に収められている。専門家の鑑定によれば、これらの中に『尚書』の古いテキストが含まれている可能性が高いという。
尚書』(古くはたんに『書』)は六経のひとつであり、孔子が編纂したとも伝承されるが、秦の始皇帝焚書によって、そのテキストは失われた。漢朝初期、記憶に頼って29篇が〈再現〉されたが、これを「今文尚書」という。さらに漢景帝の治世になって、孔子の子孫である孔安国が自宅の壁の中に『尚書』の逸篇16篇を含む竹簡の書物が隠されているのを発見したと称して、皇帝に献じた。これは先秦時代の字体で記されていたので、「古文尚書」という。しかし、明清に到って、これらは「偽書」と認定されている。さらに、東晋元帝の時代に梅賾が孔安国の註「尚書伝」を付した(偽)「古文尚書」全58篇を献じた。下って、唐の太宗の時代に孔穎達が撰した『尚書正義』でも古今・真偽が入り混じった58篇のテキストが使われている。
また、「清華簡」の中には、西晋の時代に魏(現在の河南省汲県)で発見されたといわれる『竹書紀年』に体裁が類似したクロニクルが含まれている。但し、『竹書紀年』のオリジナルは既に失われており、現在流通している『竹書紀年』は「偽書」としての認定を受けている。このクロニクルに記された西周初期から戦国に至る記事には、『春秋』、『史記』、『春秋左氏伝』に記載されていない出来事が多いという。さらに「清華簡」に含まれるとして、記事で言及されているのは、『国語』に類似した史書、『儀礼』に類似した礼書、また新発見の楽書等である。

なお、『尚書』はオンラインではhttp://chinese.dsturgeon.net/text.pl?node=21030&if=gbで読める。