減っているか、など

承前*1

http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20080708/p4


『朝日』の「若者の海外旅行離れ加速」という記事*2への反論。先ず、「母集団としての海外旅行者は増えている」。また、10代未満と60代以上は却って増えている。世代別人口を勘案すると、20代の海外旅行者数は横這いである云々。勿論、ここで問題になっているのは、観光旅行だけでなく、ビジネス上の出張や留学なども含まれるわけだが、それを含めて考えると、http://bull-bear.blog.so-net.ne.jp/2008-07-10の記述が興味深い。
ところで、


私の場合定点ではないが、それなりに若い人に接してはいるのでその意識の変化はある程度わかるつもりだが、海外旅行についていうと行く人は何回でも行く、それまであまり行かない人は多少の臨時収入があっても行かない。ということ。その傾向は昔からあったが強まっているのではないか。今度(半ば初めて)海外行くんですよ、などと嬉しそうに語る、あるいは、それを羨ましげに聞き入るなんて事は殆ど見られなくなった。行く人は半ば日常化しているからいちいち報告しないし、行かない人は耳にしたとしても興味深くあれはどうだったこれはどうだった、と聞かない。「行ったんですか、あそうですか、ごくろうさまです」と内心おそらく(よく行きますねそんな遠いところカッタルイのに)調子で応対する。

そしてこれはある程度間違いなくいえるのが、若い人の定着志向、貯蓄志向が非常に強くなったということ。2極化している面もあるだろうが、まず浪費家が減った。そして多少の事では会社を辞めない。

これでは海外旅行などする人が減るのは当たり前だろう。出世は望まないがクビにだけはなりたくないから長い有給など絶対取らず見かけ上他の社員と同等に働こうとするし、また、将来を考えて大きな出費はなるべく控える。一番大きいのは、大型の消費を控えようとする傾向であって、海外旅行離れなんてのは、若者のクルマ離れと根は一緒なのであって、それで充分説明つくのだ。
http://d.hatena.ne.jp/yamatedolphin/20080710

『朝日』の記事にあった「海外旅行をためらう」「理由」としての「休みが取れない」というのを思い出す。私が昔海外で会った老若男女のバックパッカーたちの殆どは、学生はともかくとして、とても数か月の休暇は取れないので、旅に出るために会社を辞めてきたといっていた。当時はまだバブル期だったので、会社を辞めても帰国してから再就職できる可能性は相対的に高かったといえる。しかし、不況期においては、旅行に出かけるために会社を辞めればいいじゃんとは、なかなか言いにくい。
ここで「若者」を叩いておこう。特に運良く正社員とかにありついた「若者」。「浪費家が減った」とか「大型の消費を控えようとする傾向」とか、お前らのしみったれた根性が国民経済の景気恢復を遅らせ、さらに同世代の運が悪かった人々を〈ワーキング・プア〉に陥らせているという側面は確実にあるのだ。