「革新」の終焉

承前*1

『産経』の記事


深刻な「漢字力」!「革新」を書ける中1は6% 
2008.3.3 19:43


小学2年で習う「戸(こ)外」を書けた小3は1・4%、小6で習う「革(かく)新」を書けた中1は5・9%−。小学校6年間で学習する「学年別漢字配当表」の1006字のうち、習った次の学年で書けるかどうかの“漢字力”を、ベネッセ教育研究開発センター(東京)が調べたところ、普段の生活でなじみの薄い言葉の漢字が苦手な傾向があることが3日、分かった。

 調査を担当した日本国語教育学会の河西泰道理事は「暮らしの中にはいくつもの言葉や言い方があり、その面白さに気付いてほしい。指導の際に漢字の由来などで興味を引く工夫も必要」としている。

 調査は昨年5−6月、無作為抽出した全国の公立小学2−6年と中学1年の計約9000人を対象に、前学年で習った配当表の漢字の書き取り問題を解いてもらった。

 その結果、小1で習う字では「木の下」の「き」や「木よう日」の「もく」は90%以上の小2が書けたが「木のは(葉)」の「こ」はわずか3・3%。小4で習う「成(な)る」は小5の14・1%、6年で習う「養蚕(さん)業」の「蚕」も中1の10・5%しか正答できなかった。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080303/edc0803031941006-n1.htm

この手の話題というのは既に飽きるほどあるのだが。中一で「革新」が書けないのは既に「革新」的な政治的潮流が衰退したことと関係あるかともいいたくはなる。さて、「 指導の際に漢字の由来などで興味を引く工夫も必要」という河西泰道理事の言葉は尤もだと思うが、さらに問題なのは所謂〈音訓制限〉という奴だろう。「革新」の革という字だって、あらためるという訓を教えなければ、子どもは意味もわからずに馬鹿みたいに字を暗記するしかないではないか。しかしながら、『産経』を初めとする新聞記者の連中に小中学生の「漢字力」不足を論う資格はそもそもないといえるだろう*2。そのような記者どもは、「芥川賞の銓衡委員」という正しい表記をしているyskszkさん*3の爪の垢を煎じて飲まなければならない。
話はずれるが、yskszkさんが石原慎太郎に言及しているのだが、私も手前勝手は知っているが「一人勝手」は知らない。そういえば、新潮文庫石原慎太郎の作品は既に現在殆ど絶版になっているのだろうけど、昔はそれらのカヴァーを池田満寿夫がデザインしていたと思う。私が昔読んだもので、新潮文庫池田満寿夫デザインといえば、シリトーの『長距離走者の孤独』とかゴールディングの『蝿の王』とかか。
長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

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