著作者人格権など

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20080303


Mixiの新しい利用規約


第18条 日記等の情報の使用許諾等



1. 本サービスを利用して、ユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。

2.ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。
http://mixi.jp/rules_sample.pl

が問題になっていることを知る。
Mixi側からは、

特にお問い合わせの多い【第18条 日記等の情報の使用許諾等】に関しまして、誤解を避けるため、当社が想定している具体的な使用について補足説明をさせていただきます。

上記の条項につきましては、ユーザーのみなさまが『mixi』のサービス内で作成した日記、著作物等の情報について、従来どおりユーザー自身が権利を有することに変わりはありません。

また、ユーザーのみなさまが投稿した日記等の情報(公開している自主作成の映像やイラスト、テキスト等)の使用に関しては、当社の以下対応について同意いただくもので、当社が無断で使用することではありません。



1. 投稿された日記等の情報が、当社のサーバーに格納する際、データ形式や容量が改変されること。

2. アクセス数が多い日記等の情報については、データを複製して複数のサーバーに格納すること。

3. 日記等の情報が他のユーザーによって閲覧される場合、当社のサーバーから国内外に存在するmixiユーザー(閲覧者)に向けて送信されること。

なお、ユーザーのみなさまの日記等の情報を書籍化することに関するお問い合わせもございますが、こちらの点につきましても、従来どおり、ユーザーのみなさまの事前の了承なく進めることはございません。
http://mixi.jp/release_info.pl

という〈言い訳〉が出されている*1。しかしながら、上に引用した条項からどうして下のような解釈が導けるのかということは(私には)理解できない。
さて、町田氏はMixiに「オリジナルのイラストや写真、レビューやエッセイなどをUPしてる人、特にプロやセミプロはタダで使われちゃ困るんだよ」と述べている。しかし、これは「人格権」としての著作権というよりは財産権としての著作権に関わるものと思われる。上の条文を読む限りでは、仮令「ミクシイに勝手に出版されても」、例えば使用料や印税のシェアを請求することは排除されないのではないか。それよりも引っかかったのは、「 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします」という第2項である。「著作者人格権」というのは勿論沢山の問題を抱えた権利であり*2、特にその中の「同一性保持権」は殆どの場合、新たな〈創造〉を抑圧するようにしか機能していない悪法=権利だと断定しても差し支えないだろう*3。因みに付言すれば、それはバルト/デリダ以前的なオールド=ファッションドなテクスト観(吉本隆明水準?)に対応しているといえる*4。では、「著作者人格権」の構成要素の中でも、「氏名表示権」はどうなのだろうか。これが認められなければ、金さえ払えば合法的に剽窃ができるということになってしまわないか。勿論、パロディや本歌取りでいちいち典拠を示すなんてことは野暮なことであり、そのようなことが必要になった時点で、パロディというのは成立しなくなるともいえる。また、所謂名作の一節とか有名人の言葉などは、誰でも知っていることが規範的に期待されているので、いちいち示さなくても、「著作者人格権」を侵害したことにはならないだろう。しかし、大概のテクストは引用として示されなければ、匿名のまま引用先に埋もれてしまう。