悪いのは?

佐伯剛「罪と罰*1を読む。「血液製剤C型肝炎に感染した疑いがある患者418人のリストが5年間放置された問題」*2との対比で、「関東学院大学ラグビー部」「大麻」事件を巡るマス・メディアのバッシングを批判している。


社員のうち一人でも二人でも痴漢をして逮捕された時、連帯責任を取る覚悟でもあるのか。自分にはまったくその覚悟も責任意識もないくせに、弱みを持った相手を徹底的に攻撃する。そのくせ、厚生労働省に対しては、及び腰だ。

 大学ラグビー部の方は、メディアがあれこれ攻撃しなくても、対外試合停止、廃部の危機など、相当ダメージを与えられている。この上、いったい何のために攻撃を加える必要があるのか。

という一節をマークしておこう。また、佐伯氏は、

敢えて言うけれど、たかが一部の若者の好奇心で吸った大麻だ。個人の問題だ。個人の問題は、個人で片を付ければいい。
ともいう。これも共感できる。
また、佐伯氏が引用している『東京新聞』の社説では、今回の事件を「女性に対する暴行や略取未遂」などと並べて「不祥事」として一括りにしている。しかし、取り敢えず法に反しているとはいえ、「大麻」はそういうものとは全く性格が違う。京都大学アメリカン・フットボール部員がやらかした「婦女暴行」*3とは同じレヴェルでは論じられない。
事件の発端から新聞記事を読んでみたのだが、問題はそもそも別のところにあるようだ。

大麻草栽培、関東学院大ラグビー部員を逮捕

11月9日0時50分配信 産経新聞
 自宅マンションで大麻草を栽培していたとして、神奈川県警金沢署は8日、大麻取締法違反の現行犯で、関東学院大3年でラグビー部員の中村大樹容疑者(21)と同、梅埜桂嗣容疑者(20)を逮捕した。2人は「自分たちで吸うために栽培していた」と供述しているという。
 調べでは、2人は8日午後7時ごろ、横浜市金沢区釜利谷東の同部が管理するマンション室内で、大麻草16本を栽培していた。同日に学校関係者から「おかしな植物を栽培しているようだ」と、同署に相談があったという。
 関東学院大大学ラグビー界の名門で、大学選手権では10年連続で決勝に進出し、優勝回数は6回を誇る。今月4日には関東大学ラグビーのリーグ戦で3連覇を果たしたばかりだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071108-00000965-san-soci


関東学院大ラグビー部新たに12人大麻吸引

12月4日8時0分配信 スポーツ報知
 関東学院大ラグビー部員の大麻事件で、大麻取締法違反(栽培)で起訴された2人以外の部員も、大麻を吸引していたことが3日までに分かった。神奈川県警の調べでは、起訴された部員2人が他部員の吸引を供述。県警はこの日までに部員12人に任意で事情聴取を行い、全員が事実を認めたという。大学側はすでに来年3月までの対外試合自粛などの処分を発表していたが、10人以上の大麻吸引発覚により、処分がより厳しいものになる可能性もある。

 関東学院大大麻問題が、ラグビー部全体を巻き込んだ形に発展した。すでに起訴された同大3年の梅埜桂嗣、中村大樹両被告(ともに21)は「大麻をほかの部員十数人も吸った」と供述。この日になって2人に加え、一挙に12人の大麻吸引が発覚した。

 レギュラー選手1人を含む2〜4年生の部員12人は事情聴取に対し、全員が大麻吸引を認めたという。大麻取締法には「使用」の処罰規定がなく、県警は部員らの吸引について、大麻の共同所持容疑などでの書類送検も視野に入れ、捜査を進めている。

 ラグビー部では、11月8日の事件発覚後、春口廣監督(58)が合宿所に泊まり込むなどして部員の生活指導を徹底。ほかの部員の事件関与についても聞き取り調査などを行ったが、関与は確認されていなかった。

 さらに両被告らは「9月に部の遠征先の英国で大麻の種を買い、国内に持ち込んだ」と供述。同部では9月末から欧州遠征を行い、英国で練習試合、フランスではラグビーW杯の試合を観戦するなどしていた。2人は今夏の長野・菅平での合宿中にほかの部員も一緒に大麻を吸引したとも話しており、ラグビー部として活動する一方で、部内には大麻がはびこっていたことになる。

 大学側はこの日「もし事実であれば遺憾であります」というコメントを発表したのみで会見などは行わず。春口監督はスポーツ報知の取材に対し「なぜ、という気持ちはあるが、まだ警察の捜査中なので何も話せない」と話した。現在のところ対応は決まっていないが、大麻の共同所持でさらなる逮捕者が出るようなことになれば、より厳しい処分は免れられないだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000031-sph-spo

大学が学生を警察権力に売り飛ばし、逮捕された学生は(どんな事情があるのかは知らないが)仲間を売る。不仁の極みである。仁が法に優先するのはいうまでもない。