『長江哀歌』

賈樟柯の『三峡好人(Still Life)』*1が日本でも公開されているという*2
『毎日』に賈樟柯監督へのインタヴューが載っている*3。そこから、


中国の変化という大きなテーマが背景にはあるが、一番撮りたかったのは、個人の自我の問題だとジャ監督は言う。男は妻を見つけることができて寄りを戻すのか、あるいは、女は夫に別れを切り出せるのか。中年の男女を主人公にしたのには理由がある。

 「人間が自分の人生にどう向き合うのか。個々の問題に向き合う中年を主演にして、主体的に生きていく姿を描きたかったからです。2人は過去の問題を解決するために、今、行動を起こしているのです。すでに過去をもって人生にストーリーを抱えているのが中年です。白紙の状態ではない年代を主演にすることで、完成してしまって、もう後戻りできないダムの状況を重ねたつもりです」

という箇所を引いておく。また、「中国の変化という大きなテーマ」云々ということに関しては、

巨大ダムが建設される中、彼らは家を壊され、移住させられたわけですが、彼らの経験した変化は、中国全土の人々が経験した変化そのものであるように見えました。だからある意味で、三峡で起こった変化は、中国全体の変化を象徴しているのです。
http://www.bitters.co.jp/choukou/interview.html
と別のところで語られている。
ところで、『長江哀歌』という邦題はどうなんだろう。「長江」というのはチベットから上海まで長大なわけだが、ここで問題になっているのはその中の「三峡」というトポスである。また、「哀歌」と名付けることで、観衆が喚起されるだろう感情を予め一方的に限定していないか。英語のStill Life静物画)はいいタイトルだと思うが、これだと少し漠然としすぎているか。
取り敢えず、『毎日』のレヴュー*4とichinicsという方のテクスト*5をマークしておく。