以下は社会システム理論とかとは全然関係ない。
「少子化を憂う必要はない、格差社会が広がりコンドームを買えない貧困層が増えれば子どもはすぐ増える」という中西輝政ちぇんちぇーの発言。私はつい最近まで知らなかったのだが、ネット世間的には有名な言説であるらしい。http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20061107#c1162909386によると、そのオリジナルな出典は、「悪平等こそ日本を滅ぼす」(「WiLL」2006年4月号)というテクストであるらしい。
これに対しては、
という批判がある。これは正しい意見だと思うが、こういう言説にマジに怒るというのは私の藝風ではない。
この中西という人は、一体何者なのだろう。格差社会が広がればコンドームが買えない人がでて、人口が増えるなど、とてもじゃないが正気であるとは思えない。
まず、第一にコンドームが買えないくらいの格差社会を想定していることに驚きを禁じえない。一体、何を考えているのだろうか。このような人物が、次期首相(に最もちかい)のブレーン(頭脳)だというのであるから、安倍氏が首相になったとき、庶民の生活がいかに破壊されていくだろうか。
次に、たとえ、それほどの格差社会になって、コンドームが買えなくなったとしても、そのような人たちが子どもを生み、育てようとするとは、おおよそ考えにくい。コンドームすら買えない生活の貧窮下において、子供が生めるはずがない。出産費用はどうするのか、その後の養育費はどうするのか?
http://redpepper.korekore.org/000290.html
「コンドームを買えない貧困層」がどんどん妊娠し、出産しても、捨て子や育児放棄が増えて、それによって社会的支出は増えて仕方がないと思うのだが、如何だろうか。そして、私はある東欧国家のことを思い出した。ルーマニアである。チャウシェスク家独裁時代のルーマニアでは、人口に関して、〈産めよ殖やせよ〉政策が採られ、出生数がノルマ以下の夫婦には罰金が課せられた。勿論、性教育は否定され、人民は避妊についての知識は持たず、避妊具を合法的に入手することもできなかった。その結果、社会には捨て子が溢れた。その子たちは国家によって育てられ、国家=チャウシェスク夫妻を父上、母上と呼びながら、成長し、大人になると、チャウシェスク家の親衛隊となった。中西輝政言説を初めて見たときに、この人はルーマニアが好きなんじゃないかと思ったのだ。日本でやれば、(字義的な意味での)〈天皇の赤子〉の誕生か。
ところで、ルーマニアというと北朝鮮と並ぶ最悪の独裁国家というイメージが強いが、1980年代には(蘇聯への牽制という意味で)米国の梃子入れを受け、それなりの援助や投資も西側から行っていた筈だ。その成果として、蘇聯系列の諸国が一斉にボイコットしたロサンジェルス五輪へのルーマニアの参加がある。
コンドームに話を戻すと、田中秀臣氏はコンドームの価格が上昇すれば(生でのセックスが増加して)出生率が上がるということに否定的な見解を示している*1。避妊具のコストが上がると、「その代替としてオーラルセックスの需要が高ま」る。