ロング・グッドバイ

 戴錚「村上春樹全新演繹《漫長的告別》」『東方早報』2007年3月20日


別に私が「ロング・グッドバイ」するわけではなく、「日本評論界称賛村上版《漫長的告別》較之半個世紀前的訳本」という記事。「全新方式賦予了原著都市文学的内涵」。記事では文藝評論家の池上冬樹氏が清水俊二訳と村上春樹訳をチャンドラーの原著を参照しながら比較分析していることが紹介されている。また、村上春樹の新訳刊行を契機に日本全国の書店で「銭得勒読書節」すなわちチャンドラー・フェアが開催されていることも*1
私は『長いお別れ』は清水俊二

で読んだが、清水さんは映画の字幕翻訳で有名な人だし、双葉十三郎氏もチャンドラーの別の作品を訳している。だから、チャンドラーというと映画関係者が訳すものというイメージをいつの間にか持ってしまった。
ところで、hard-boiledというのはそもそもその文体に対して付けられた呼称であり*2、翻訳は〈文体の翻訳〉にならざるを得ないので、翻訳が議論されるのは当然といえば当然であるともいえる。

*1:「銭得勒」というチャンドラーの中国語表記を見たとき、吃驚するとともに笑ってしまった。

*2:ハードボイルドの元祖はヘミングウェイということになるのですよね。