社長とか学長という使い方は脇に置いておいて、presidentを国家元首という意味で使う場合、日本語では「大統領」と訳す。「総統」という日本語は、上の引用にあるように、ヒトラーとデスラーの2人の専用とされている感がある。ヒトラーの場合、Fuhrer*1という肩書きは英語でも独逸語のまま表記されることが常であり、presidentと訳されて使われているのを見たことはない。それに対して、中国語では、presidentの訳は「総統」であり、ブッシュもシラクも阿扁もみな「総統」。但し、中国の国家元首は「国家主席」だが、英語での表記はpresidentである。これは自国家中心主義?
‥‥そんなワケで、あたしは、この「総裁」ってのが、どうも良く分かんない。「総裁」が、何かの団体で一番偉い人だってことくらいは分かるんだけど、それなら、「総統」とはどこが違うんだろう? 「総統」って言うと、あたしが思い浮かぶのは、「ヒトラー総統」と「デスラー総統」の2人で、どっちも、悪者って言う共通点がある。だけど、それは、よその人たちから見た場合の話で、ヒトラーの部下たちやデスラーの部下たちから見れば、悪者じゃなくて、自分たちの団体の一番偉い人なんだと思う。そう考えると、「総裁」が正しい人で「総統」が悪い人ってワケでもなさそうだし、それなら、安倍晋三なんてヒトラーにソックリなんだから、「自滅党の総裁」じゃなくて、「自滅党の総統」ってことにしちゃえばいいのに。
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/09/post_32a0.html
「総裁」という言葉は、日本語においては〈右翼政党の党首〉(自民党総裁、大日本愛国党総裁)或いは国営企業のトップ(国鉄総裁)というイメージを喚起する*2。中国語ではどうなっているのかと、手許の中日辞典を開いてみたが、取り敢えず「政党の党首または企業・集団の首脳をさす」とあるが、実際には後者の使い方が圧倒的に多いように思う。また、歴史的には「清代における中央編纂機関の主管官員、または中央科挙試験を主宰する大臣」の意味であったという。
日本の大学で、その教学上のトップを学長ではなく総長と呼んでいるところがある。東京大学のトップが何故学長ではなく総長なのかというのは知っているが、ほかの大学の場合はどうなのか。因みに、「総長」という言葉に対応するのは就任ではなく襲名である。また、襲名を記念する儀礼として〈総長賭博〉を行わなければならない。
*1:Fuhrer—“A leader, especially one exercising the absolute power of a tyrant. Hitler's title as leader of the Nazi party, and Chief of the German state.” http://www.remember.org/guide/Facts.root.hitler.html
*2:あと、オリンピックや万博があると、皇族が〈名誉総裁〉に推戴されるということもある。