http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110502/1304357572に関連して、宮田光雄『ナチ・ドイツと言語』第I章「独裁者の言語」からメモ。著者はロジェ・カイヨワを参照して、
と述べている。また、ヒトラーの死を伝える『朝日』(1945年5月4日)の記事;
元来、世俗内的な《軍事的メシア》としてカリスマ的権威を帯びていたヒトラーは、ここでは、その事業の完成のため、みずからを《犠牲とするメシア》としての死を想定されていた! ヒトラーがドイツ民族のために犠牲死を引き受けることによってこそ、その総統崇拝は永続性を保ちうるのだ、というのである。しかし、そのためには、敗北の現実に直面してみずからの責任を最終的に回避したヒトラーの自殺行為は、犠牲の死へと換骨奪胎されねばならなかった。
ヒトラーの後継者に指名されて国家元首となったデーニツ提督は、そのラジオ放送を通してドイツ民衆に告知した。「われわれの総統アドルフ・ヒトラーは、最期の息を引きとるまで、ボルシェヴィズムと戦いながら、ドイツのために倒れた(!)」と。(pp.41-42)
【チューリッヒ二日発同盟】 ハンブルグ放送=総統本営は二日の公報をもつてヒットラー総統はベルリンの英雄的防衛者達の陣頭に立つて戦闘中に仆れた。総統はドイツ国民並に欧州を救ふために生命を犠牲に供したのである。仆れるまで真理に忠実であつたヒットラー総統の不撓の努力は永へにドイツ兵士の亀鑑とならう。(cited in p.42)
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