国際関係論――与太話と小熊英二氏

http://0000000000.net/p-navi/info/column/200609192250.htmで、某大学の「国際関係論」の講義がひどいという話を読む。私の学生時代は、「国際関係論」というのは学者が講義するのではなく、新聞記者上がりの人が自らの海外駐在時代の思い出を中心に雑談するという趣だった。だから、「居酒屋での放談レベル」というのを読んでも取り立てて驚くということはなかった。勿論、時代も場所も限定された私の経験を一般化することはできないだろう。
小熊英二氏、〈憲法9条〉を語る*1。これも「国際関係論」に関わるのだろうけれど、勿論与太話ではない。幾つか抜き書きをしておく。
ウヨな批判について;


明治の歴史がどうなっているのか、日米安保アメリカとの関係がどのような関係であるか、米軍の国際展開がどうなっているか、米軍基地の思いやり予算がどうなっているかなど、たぶん彼らには知識がないし、関心もないと思います。
 基本的に彼らにとって関心があるのは、「あの戦争において日本は悪くなかった」「アジアの人が文句をつけてくるのはいいがかりだ」「誇りの持てる国として日本を描きたい」、そのことだけ。そこが僕は面白かったですね。
また、

小熊
私の9条に対する考え方は、極めてプラグマティックなものです。いま9条を変えて何が起こるかと言ったら、自衛隊アメリカの指令通りに方々の戦場に駆り出されるだけです。たとえ戦死者が出なくとも、そのたびにお金がかかって仕方ないですよ。日本財政がパンクします。日本にとって得なことは何もない。
 自衛隊を「自衛軍」と明記したら日本の誇りが取り戻せて、日本の思う通りに軍隊を動かせると考える人がいたら、国際関係に無知だということを自分で白状しているようなものだと思います。

編集部
特に北朝鮮に関しては、拉致問題以降、今回のミサイル発射といい、世論が右傾化する要因になっている部分がありますね。

小熊
あまり僕は“右傾化”とは受け止めていませんけどね。「過去に日本がアジアに対して被害を与えた」という言論を否定したい人たちが、日本が被害者で朝鮮が加害者だといえる絶好の口実を見つけ出して、喜んで話のネタにしているだけではないですか。
 それに本気で北朝鮮を脅威だと思っていたら、北朝鮮を刺激するような世論や番組などはびこらないと思います。冷戦時代には数百基以上のソ連の核ミサイルが日本に向けられていたと思いますが、誰も騒がなかったし、ソ連をネタにテレビのお笑い番組が盛りあがるなんてこともなかった。本気で脅威だと思っていれば、そういうものです。北朝鮮なんてたいしたことない、と本当はなめているから、ネタにして遊べるんですよ。