曖昧ではない日本人?

『朝日』の記事なり;


石原知事、また「三国人」 治安対策めぐり発言
2006年09月16日08時24分

 東京都の石原慎太郎知事は15日に都内であったシンポジウムで、国の治安対策を批判し、「不法入国の三国人、特に中国人ですよ。そういったものに対する対処が、入国管理も何にもできていない」と発言した。石原知事は00年にも「三国人」と発言して各方面から批判を浴び、「意図した意味と異なり、差別的に使われていた言葉だった」とした上で、「今後は、誤解を招きやすい不適切な言葉を使わない」と表明していた。

 シンポは、民間団体が主催し、テロなどに対する危機管理がテーマ。

 石原知事は00年4月の陸上自衛隊の式典で、「不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾(そうじょう)事件すら想定される」と発言。その後、「辞書では『当事国以外の国の人』という意味で出ており、私もこの意味で使った」「在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を傷つけたのは不本意で遺憾だ」などと説明していた。
http://www.asahi.com/national/update/0915/TKY200609150434.html

石原慎太郎についてここでは論評しない。ただ、「三国人」云々という発想の前提にあるものについてちょっと疑問を呈しておきたい。その前提にあるのは、日本人とその他外国人とはクリアに区別できるという思い込みだろう。中国の、それも上海に住んでいると、この前提自体がかなり怪しいと感じてしまう。自分の周りには、日本国籍を取得した中国人というのはかなりいるし、そもそも香港人や台湾人が数十万単位で居住している。『上海人家』(上海人民美術出版社)という写真集があって、これは貧乏人から富豪までの上海人お宅拝見という趣の写真集なのだが、そこに登場する人たちの国籍の多様性は注目に値する。何が言いたいのかといえば、中国において、自国民と外国人との境界はクリアなものではなく、(日本人が思い込んでいるよりも)曖昧なものだということだ。勿論、日本でも日本国籍を取得する在日コリアンは多いわけだし、中南米諸国出身の〈日系人〉もいるわけで、日本人とその他外国人とはクリアに区別できるという思い込み自体がそもそも現実とはそぐわないということもあるわけだが。
これに関係して、http://www.asahi.com/international/aan/column/060826.htmlもマークしておく。