2017年に

それにしても、最近の訃報はちょっと目まぐるしすぎる。
さて、ジュンク堂書店のPR雑誌『書標』530で、赤染晶子のエッセイ集『じゃむパンの日』が紹介されている(p.4)。


まず、タイトルが素晴らしい。”ジャムパン”の”ジャム”をひらがなにすることで生まれる、気の抜けた面白さ。著者独自の目線で、なんでもない日々が笑いに変わる愛おしい瞬間が、五十五篇のエッセイで描かれています。

巻末には翻訳家の岸本佐和子さん*1との交換日記も併録されていて、おふたりのユーモラスな日記に、最後まで笑わせられます。こんなに面白いエッセイを書かれた赤染さんの他の著書は品切れ中。本書をきっかけに重版されることを願ってやみません。
吃驚したのは、この赤染さんが2017年に「早逝」されていたこと。知らなかった! 『じゃむパンの日』は「初のエッセイ集」だということだけど、同時にこれは最後のエッセイ集でもあるわけだ。

作家・赤染晶子さん死去 芥川賞乙女の密告」で「巧みな小説」と絶賛
42歳だった。
ハフポスト日本版編集部
2017年12月10日 17時32分 JST

更新 2023年01月23日 JST


芥川賞作家の赤染晶子(あかぞめ・あきこ)さんが9月18日に死去していたことがわかった。京都新聞が報じた。42歳だった。死因は急性肺炎で、葬儀・告別式は近親者ですませたという。

赤染さんは京都外国語大ドイツ語学科を卒業後、北海道大大学院で学んだ。2004年にデビュー作『初子さん』で第99回文學界新人賞を受賞。その後、2010年に『乙女の密告*2で第143回芥川賞を受賞した。

乙女の密告』は、京都の外国語大学でドイツ語のスピーチコンテストに挑む女学生たちの日常と、その課題作である「アンネの日記」の世界が重なり合う物語だ。

芥川賞選考委員の作家・小川洋子さんは、「ある区切られた空間の中にある人数の人が集まると、理不尽なことが起きる。大学の教室の中で乙女と呼ばれる生徒たちが二つの派閥に分かれて争い、密告が起こるというのは、アンネ・フランクの身に起きたことに重なる。二つの世界が結びつく巧みな小説」と絶賛していた。

京都外国語大学は、赤染さんの芥川賞の受賞に寄せて、次のようなコメントを発表していた*3

「受賞作は、在学時に経験したドイツ語の授業を実に興味深くデフォルメし、語学を自作の文学作品の中でしっかり息づかせるなど、外国語大学出身者ならではのストーリー展開、ならびに言葉の選び方がなされております。これからも、持ち味のユーモアあふれる文学作品のための創作活動への期待がふくらみます」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/akazome-akiko_jp_5c5d538be4b0974f75b179f6