白鳳寺その後

承前*1

札幌市東区の「白鳳寺」=「御霊堂元町」事件のその後。


HTB「白鳳寺の元住職「500万円で譲った」…渦中の納骨堂 絡み合うさまざまな利害 存続の行方は」https://news.yahoo.co.jp/articles/e9c07b7d9faf09f8d610d2364a2896fa2a8c8df8


曰く、


 「御霊堂元町」を運営する宗教法人「白鳳寺」。
 およそ3億円の借金を抱え事実上、経営破綻状態に陥りました。
 ことし7月、土地と建物が競売にかけられおよそ1億500万円で落札したのが札幌市の不動産会社です。

 ■(落札した)不動産会社の社長:「賃貸マンションを新築しようと計画して応札しました。立地に魅力を感じて入札をしたという経緯です」

 落札した不動産会社の社長は永代供養を謳ってきた納骨堂であることも理解したうえで応札したといいます。

 ■社長:「競売資料に納骨壇は容易に移動できる建物の符合物ではないと記されていたので移動することが可能であると認識していました。
 白鳳寺は元々、豊平区にあったようなんですがそこから引っ越してきた。
 移動してきた経緯があることから、競売で落札された後に再び引っ越す可能性はあると考えていました」

 宗教法人「白鳳寺」が札幌市東区で納骨堂の経営を始めたのは10年前。
 それ以前は現在とは異なる人物が代表として豊平区で斎場を営んでいました。
 さらに宗教法人「白鳳寺」は1950年代から存在し白石区にはかつて寺院を構えていたことがわかりました。
 HTBはこの寺の住職だった人物に接触
 宗教法人「白鳳寺」の驚くべき実態が明らかになりました。


 ■白鳳寺の元住職三井文龍さん:「白鳳寺を譲ったんだQ譲るってのは売った?うん。だって少しでもお金にならなきゃそんな譲るってことはないものQ売る金額はいくらくらい?500万円」

 白鳳寺の住職だった三井文龍さんは20年ほど前に宗教法人としての資格を売却したと証言します。
 なぜ、宗教法人の資格が売買されるのか。
 僧侶の資格を持つ弁護士の荒川香遥さんはこう解説します。
 ■僧侶の資格を持つ荒川香遥弁護士:「税制上優遇されたりだとか今回問題となっていますが納骨堂・墓地は民間会社が運営できませんので宗教法人なら運営できる。
 そんな形で売買のニーズがあると思います。」

 宗教法人を取得するため僧侶の資格などは必要ありません。現在の「白鳳寺」の代表もこう断言していました。

 ■白鳳寺の代表:「宗教の学校もなにも出ておりません」

 ■僧侶の資格を持つ荒川香遥弁護士:「宗教の勉強をしたことない方が引き継いで納骨堂を運営して売っていくそうするとただの倉庫業みたいになってしまいますからビジネスをしたいという形になると今回のような消費者被害に発展することが懸案されます。」

 
不動産会社はマンション建設の計画を白紙に。
 白鳳寺の役員を自ら選任するという条件のもと納骨堂を引き継ぐ方針に転換しました。
 しかし、ハードルが待ち受けます。
 納骨堂の事業許可を与える札幌市は先月、白鳳寺に対して新たな販売を禁じる行政処分をくだしました。
 不動産会社が選んだ新たな役員が経営を継いだとしても処分はそのままの可能性が高いといいます。

 ■札幌市保健所生活環境課中村陽一係長:「事実上の名義貸しで営利企業が宗教法人の実権を握ってしまうということはまずい。不動産業者が宗教法人を引き継ぐということが名義貸しになるのではないかという疑義が生じますので確認が必要になります。」

ところで、「宗教法人」としての「白鳳寺」は幾度も転売されてきたようなのだ。
「納骨堂の役員が行方不明で遺骨千体が“置き去り”に 競売で落札した不動産会社に納骨堂の運営はできず」という『週刊新潮』の記事*2から;

宗教ジャーナリストの小川寛大氏*3が説明する。

「もともとこの納骨堂は札幌市内の葬儀会社がスポンサーになって始めたもので、経営する白鳳寺も頻繁に代表が替わり、実態が見えません。ビル型の納骨堂は檀家が減っている寺院にとって簡単に儲かることから一時大繁盛した時期があり、白鳳寺も追随したのでしょう。しかし、最近は利用者による納骨堂の選別が始まっており、永代供養料とわずかな管理費だけでは、経営が苦しくなっていたのでは」

ところで、宗教法人というのは2つの顔を持っているといえる。ひとつは宗教法人法に規定された世俗組織(法人)としての顔。もう一つは、その教義に規定された宗教的実践を行う組織体(宗教法人)としての顔。勿論、こうした二面性は宗教法人に特有のものではないだろう。例えば、学校法人(大学)。法人としてのトップは理事長であり、最高意思決定機関は理事会だろうけど、学術教育団体としてのトップは学長ということになる。白鳳寺の場合、あくまでも「宗教法人」であって宗教団体ではないといえる。つまり、今行方をくらましている人はあくまでもただの「代表」なのであって、住職ではないのだった。