ヤマト!

最近流行り(?)の反ワクチン集団「神真都Q」。

雨宮純*1「1,000人規模のノーマスク集団が渋谷周辺を行進、全国同時神真都Qデモ(2022.1.9)」https://note.com/caffelover/n/n1876fe9fcd20


曰く、


神真都は「ヤマト」と読む(※余談であるが昨年10月頃ネットユーザーを驚愕させたテスラ缶は、スピリチュアル信者達によって自作版=大和缶を作るムーブメントに変化し、今では「神真都缶」と記載されるようになっている。日本におけるテスラ缶のオカルト・スピリチュアル的なバックグラウンドについてはこちら*2 )。そして、QはQアノンのQである。ヤマト(=日本)+Qアノンなのだから、大雑把にはQアノンの一派と見て良い(が、こちらの記事*3を読んで頂くと分かる通り、その教義にはスピリチュアル系のUFO陰謀論の影響が強く見られ、QアノンというよりはPFC-COBRA*4に近い)。このデモは、「甲」や「イチベイ」といった陰謀論インフルエンサーによって呼びかけられ、全国で一斉に行われたものである。
また、雨宮氏の「神真都Qとは何か」*5には、「神真都Q」の生い立ちとその壮大な神話体系が紹介されている。

話はバチカンから始まる。クリスタルバリアや魔物達に守られたバチカン禁書庫には、1つの階層だけで666万に及ぶ書物やオーパーツが保管されている。

禁書庫を守っている魔物たちは「NAA血族」であり、NAA遺伝子という特殊な遺伝子を受け継ぐ者たちである。NAA血族は、世界の諜報機関や政府、軍、中央銀行、さらには個人を洗脳支配しているイルミナティである。この正体は、光と闇の銀河戦争から逃げてきた者であり、他の星と同じく地球を侵略した。ちなみに地球には南極にゲートが存在し、ドナルド・トランプが出入りしている。

NAA血族は紀元前数万年前、レムリア、ムー、アトランティス大陸を破壊し、我々人類を洗脳支配してきた。今こそ、YAP遺伝子(=善の宇宙人や龍神が持つ特殊な遺伝子)を引き継ぐ大和民族が立ち上がらなければならないのである。ここで、覚醒とは精神的な目覚めだけを指すのではない。

我々の遺伝子の一部はイルミナティによって眠らされているが、ここでその遺伝子も覚醒し、真の力が目覚めるのである。この計画を実現するには人口の37%を覚醒させる必要がある。従って真実を拡散しなければならないのだ。

雨宮氏の解釈;

慣れていない人には面食らう内容かもしれない。しかし物語の構成要素を見てみると、「古代にやってきた宇宙人=古代宇宙飛行士説」、「太古から受け継がれてきた特別な遺伝子」、「一定数の人間の意識が変わることで革命が起こる=100匹目の猿」と、過去のオカルトを寄せ集めたものということが分かる。実はこうした内容は他のUFO系の陰謀論でも見られるものであり、特段珍しくはない。

また、「善なる宇宙人」や「光と闇の銀河戦争」が登場するところからは極めてスピリチュアル色が強いことが読み取れ、スピリチュアルと陰謀論の相性が良いどころか、ほぼスピリチュアルと言って良い内容である。このように、今やSNSで流行する陰謀論のスケールは地球を飛び出し、宇宙を舞台にした壮大なものになっている。フリーメーソンやCIAといった(まだ)常識的な陰謀論を思い浮かべる人は面食らうかもしれないが、こうした陰謀論のほうがSNSでは受けが良いので仕方がない。「このような荒唐無稽なものを一緒にしてもらっては困る」と憤慨する人もいるかもしれないが、それはまさに「マッドフラッド-タルタリア陰謀論における実証派フラットアーサーの苦悩」である。

さて、ここまで見てきたにも関わらず、実は「大和グリッド帰還計画」の具体的な内容は示されていない。しかし、イチベイ*6が示唆するところによれば「覚醒した者達で『新地球』に帰還する」ことを指しているようだ。新地球というのはスピリチュアルや陰謀論の界隈で広く使われている言葉で、「スピリチュアルな次元が高い人だけが行ける新しい地球」という程の意味である(改めて書くとストレートな選民思想で眩暈がする)。要は「今いる世界は偽物で、選ばれた仲間だけが行ける本当の世界があるはずだ」というわけである。これも昔から見られる考え方で目新しさはない。

神真都Qではドナルド・トランプ信仰やディープステートによる児童売買説も会員の間で共有されているため、Qアノンとの共通点自体は薄らと存在する。しかし上記の内容から分かるとおり、彼ら、彼女らの主張にはスピリチュアルな内容が多く含まれ、Qアノンというよりはむしろスピリチュアル系のUFO陰謀論の亜種と呼んだほうが適切に思える(特にアシュタールコマンド系の陰謀論であるPFC-COBRAとの類似性が指摘されており、これについては別途考察したい)。神真都Qは日本のQアノンの代表を自称しているが、大半の会員はQmapやQdropといった、本家Qアノンの情報を読んだことがないはずだ。以前から真面目に?Qdropの翻訳を行なっていた人々からすれば、このような団体が数の上で圧倒的優位に立っている現状には我慢ができないだろう。