安藤健二「苦しそうに奇声を上げるオオワシは鉛中毒で死んだ。診察した獣医師は訴える「一刻も早い鉛弾の規制を」」https://www.huffingtonpost.jp/entry/eagle_jp_61f63408e4b02de5f51a1631
1月17日に、北海道浦河のヒダカファームで絶滅危惧種のオオワシが保護された。釧路市の「猛禽類医学研究所」*1で治療を受けたが、その日のうちに絶命。死因は「鉛中毒」。
放牧地に飛べないオオワシがいました。どうしたらいいか分からず浦河町役場、日高支庁に尋ねてようやく連絡がつき、はるばる釧路から保護しに来てもらいました。何とか回復してくれる事を願っています。 https://t.co/7pT6qb0ebb pic.twitter.com/KpMQxiG0Kg
— 有限会社ヒダカファーム (@HIDAKA_FARM) 2022年1月17日
やはり鉛中毒!血中の鉛濃度は極めて高濃度、レントゲンでは胃内に鉛ライフル弾の破片と思われる陰影を2つ確認した。解毒剤を投与しICUの中で高濃度の酸素を供給したが夜に死亡。日高地方では2020年にもオジロワシの鉛中毒が確認されており、当地域を中心に続発する可能性がある。環境省に情報提供を! pic.twitter.com/xt6AetWIBC
— 猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 (@raptor_biomed) 2022年1月18日
鉛中毒は見ているだけで辛い。苦しそうな努力呼吸、脳にまで鉛が回ることで発する奇声。。
— 猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 (@raptor_biomed) 2022年1月19日
凄まじい苦しみをもたらし、治すことが困難であるからこそ予防が大切だ。有毒な鉛弾から、銅弾(ライフル、サボット・スラッグ)やスチール弾(散弾)などの無毒弾に移行するだけで防げる病なのだ! pic.twitter.com/dkzsStJKks
銃弾だけでなく、釣り用の重りでも「鉛中毒」になる可能性がある;
ハフポスト日本版は、斎藤代表*2に電話取材した。鉛弾の破片を体に取り込んだ野鳥は「体内に重金属が入ってすぐ吸収されます。極度の貧血になり、全身の臓器がボロボロになります」という。斎藤代表によると、このオオワシが鉛中毒になった背景には、エゾジカなどのハンターが本来は北海道で禁じられている鉛弾を使用した可能性が高いという。
「本州ではまだ使用可能なのでそこから来たハンターが持ち込んだ可能性などが考えられます。狩猟で撃った動物はその場に放置してはいけないことになっていますが、肉だけを持ち帰って内蔵を放置したり、冬だと雪の中だけに埋めておくだけにしておくとオオワシなどの猛禽類がシカの死体を食べてしまい、鉛弾の破片を体内に取り込んで、鉛中毒になるのです」
北海道では、鉛中毒で命を落とす野鳥は1996年に初確認されて以降、オオワシだけでなくオジロワシなど猛禽類全般で200羽以上に上る。2021年に入ってからは、このオオワシが初だった。斎藤代表によると「鉛中毒は北海道だけの問題ではなく全国で起きている」と指摘する。
鉛弾をめぐっては2021年9月10日、当時の小泉進次郎環境相が2025年度から全国の狩猟を対象に鉛弾の使用を段階的に規制し、2030年度までに野生鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を記者会見で表明している*3。この動きについて斎藤代表は「遅すぎると感じています」と焦燥感を打ち明けた。
「規制自体は大いに評価します。ただ、今から3年間は鉛弾によって動物たちが死に続けます。鉛弾を使った狩猟で、動物たちが鉛中毒で死ぬ事例は北海道だけでなく全国で多発しています。一刻も早い規制を国にはお願いしたいです」
鉛中毒は、魚釣りの仕掛けの鉛でも起こりうるのでしょうか?
— やまだかつよし (@yamakatulily) 2022年1月20日
鉛弾のお話が中心になってる中で、他に飲み込む可能性があるのは仕掛けかな?と思って気になりました。
もしお分かりになりましたら、ご回答いただけると幸いです!
特にハクチョウ類などの鉛中毒はマコモなどの水草に絡んだ釣りの仕掛けごと釣りおもりを飲んで発症することがあります。私は諏訪湖のコハクチョウでこれによる鉛中毒を経験しています。もちろん、環境中にばら撒かれた水鳥猟用の鉛散弾を砂肝に蓄える小石と間違えて飲み込み発症することもあります。
— 猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 (@raptor_biomed) 2022年1月20日
かつて「鉛」は絵具の含有成分であり、カラヴァッジョを初め、ゴヤやゴッホという錚々たる画家たちが「鉛」の犠牲になったらしいのだった;
Tom Kington “The mystery of Caravaggio's death solved at last – painting killed him” https://www.theguardian.com/artanddesign/2010/jun/16/caravaggio-italy-remains-ravenna-art *4
*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160102/1451714338
*3:「小泉大臣記者会見録(令和3年9月10日(金)10:33~11:03於:環境省第1会議室)」https://www.env.go.jp/annai/kaiken/r3/0910.html
*4:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100617/1276783309