大鷲の死

安藤健二「苦しそうに奇声を上げるオオワシは鉛中毒で死んだ。診察した獣医師は訴える「一刻も早い鉛弾の規制を」」https://www.huffingtonpost.jp/entry/eagle_jp_61f63408e4b02de5f51a1631


1月17日に、北海道浦河のヒダカファームで絶滅危惧種オオワシが保護された。釧路市の「猛禽類医学研究所」*1で治療を受けたが、その日のうちに絶命。死因は「鉛中毒」。


ハフポスト日本版は、斎藤代表*2に電話取材した。鉛弾の破片を体に取り込んだ野鳥は「体内に重金属が入ってすぐ吸収されます。極度の貧血になり、全身の臓器がボロボロになります」という。

斎藤代表によると、このオオワシが鉛中毒になった背景には、エゾジカなどのハンターが本来は北海道で禁じられている鉛弾を使用した可能性が高いという。

「本州ではまだ使用可能なのでそこから来たハンターが持ち込んだ可能性などが考えられます。狩猟で撃った動物はその場に放置してはいけないことになっていますが、肉だけを持ち帰って内蔵を放置したり、冬だと雪の中だけに埋めておくだけにしておくとオオワシなどの猛禽類がシカの死体を食べてしまい、鉛弾の破片を体内に取り込んで、鉛中毒になるのです」

北海道では、鉛中毒で命を落とす野鳥は1996年に初確認されて以降、オオワシだけでなくオジロワシなど猛禽類全般で200羽以上に上る。2021年に入ってからは、このオオワシが初だった。斎藤代表によると「鉛中毒は北海道だけの問題ではなく全国で起きている」と指摘する。

鉛弾をめぐっては2021年9月10日、当時の小泉進次郎環境相が2025年度から全国の狩猟を対象に鉛弾の使用を段階的に規制し、2030年度までに野生鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を記者会見で表明している*3。この動きについて斎藤代表は「遅すぎると感じています」と焦燥感を打ち明けた。

「規制自体は大いに評価します。ただ、今から3年間は鉛弾によって動物たちが死に続けます。鉛弾を使った狩猟で、動物たちが鉛中毒で死ぬ事例は北海道だけでなく全国で多発しています。一刻も早い規制を国にはお願いしたいです」

銃弾だけでなく、釣り用の重りでも「鉛中毒」になる可能性がある;
かつて「鉛」は絵具の含有成分であり、カラヴァッジョを初め、ゴヤゴッホという錚々たる画家たちが「鉛」の犠牲になったらしいのだった;


Tom Kington “The mystery of Caravaggio's death solved at last – painting killed him” https://www.theguardian.com/artanddesign/2010/jun/16/caravaggio-italy-remains-ravenna-art *4

*1:http://www.irbj.net/

*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20160102/1451714338

*3:「小泉大臣記者会見録(令和3年9月10日(金)10:33~11:03於:環境省第1会議室)」https://www.env.go.jp/annai/kaiken/r3/0910.html

*4:Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20100617/1276783309