須藤唯哉*1「人類社会に必要な「羅針盤」に」『毎日新聞』2021年3月14日
「人文知応援フォーラム」*2共同代表の大原謙一郎氏(大原美術館名誉館長)へのインタヴュー記事。
人文学支援の政治的意味について語られているところをコピーしておく;
この方、大原孫三郎の孫に中るんだね*3。
化学メーカー「クラレ」勤務時代に新規事業や研究開発を担当したことがあり、世界のクリエーターたちと付き合ってきましたが、みんな人文学的な知恵を持っていました。オペラを語らせたら一晩中語り尽くしたり、そういう人ばかりなんですよね。そんな人たちと勝負しながら昼間の交渉の席だけでなく、夜の会食の席でも腹を割って話をする。そんな人材を育てていかなければ、日本は世界で後れを取ると昔から考えていました。
日本が民主主義国家として世界の中で自らの立場を主張していくためには、民主主義の基本をみっちり押さえなければなりません。応援大会では登壇者から「リベラルデモクラシー(自由民主制)が劣化しているところにコロナ禍が起きた」との指摘がありました。その流れの中で、リベラルデモクラシーとは違う考え方の社会にも力があるのではないかとの見方が広まってしまったら、これからの世界は闇です。だからこそ、リベラルデモクラシーに力を持ってもらうためには、人文学的な知恵をもっと掘り起こしていかなければなりません。