百足の伝承?

沖縄タイムス』の記事;


143年ぶりの新種「琉神大百足(リュウジンオオムカデ)」 東京都立大など やんばるで発見
4/14(水) 10:36配信

沖縄タイムス

 東京都立大、法政大、国立科学博物館の研究者でつくるチームは13日、国内で143年ぶりのオオムカデの新種となる「リュウジンオオムカデ(琉神大百足)」を本島北部の森で発見したと発表した。体長約20センチで、日本最大級の大きさ。渓流近くに生息して川のエビなどを捕食し、青緑のひすい色の体が特徴だ。

 水中の生物を捕食する「半水棲(すいせい)」のムカデは世界で3例目。生息地は本島北部、久米島西表島渡嘉敷島、台湾という。

 東京都立大大学院博士課程の塚本将さん、法政大の島野智之教授らが調査結果をまとめ、論文を発表した。国内ではこれまで4種のオオムカデが確認されていたが、日本人が発見し、命名するのは初めて。名前は、琉球王朝時代に海にすむ神「竜神」がムカデを恐れるとして航海の際にムカデ旗を掲げた風習にちなんだ。

 発見したのは3年前で、大宜味村から北の地域。島野教授は「現地で古くから存在を知られていたが、2016年ごろインターネット上で『大きなムカデがやんばるに生息している』と全国のマニアの中で話題となった」と述べ、調査に乗り出した経緯を説明した。 成虫になるまで5年以上かかると推定されることなどから「絶滅が強く危惧される。飼育が困難な種で、採集は控えてほしい」と呼び掛けた。標本は琉球大学の博物館に寄贈され、一般展示室での公開も予定されている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/093aea9c6ef15eaec91511ba3d11d8550535d761

琉球大学「国内で143年ぶりのオオムカデの新種発見!渓流に潜む、翡翠色に輝く国内最大のオオムカデ〜日本初、世界で3例目の半水棲ムカデ、沖縄の4地域と台湾から発見され、沖縄の故事にちなみリュウジンオオムカデ(琉神大百足)と命名〜」https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/21905/ *1


リュウジンオオムカデ(琉神大百足)」の由来について;


本種が美しい青緑色(ひすい[翡翠]色)の体色をしていることと、川に飛びこむ姿から、同様に美しい体色の鳥であるカワセミとおなじく、ギリシャ神話の女神アルキオーネの名前にちなみ、学名をScolopendra alcyonaとした。一方、和名は沖縄の故事にちなんでリュウジンオオムカデ(琉神大百足)とした。その昔、海に住む龍神の耳にムカデが入り、龍神は苦しんだものの、それをあっという間に食べたニワトリをみて、龍神はムカデとニワトリを恐れたことから、琉球王朝時代より船などには航海の安全を祈り、ニワトリの絵とムカデ旗(モカズ旗)が掲げられるようになった。龍神も恐れをなすが如く巨大な本種の姿と、この故事を重ね合わせ、また、本種の生息する琉球の深い森に敬意を捧げ、リュウジンオオムカデと命名した。
さて、世界にはこのほかに百足を巡る神話・伝承はどのくらいあるのだろうか。私が思いつくのは、『古事記』におけるスサノヲによるオホナムヂ(大国主)苛めの説話くらいか。オホナムヂは「また次の日の夜には、百足と蜂の室屋に入れられたが、またもやスセリビメが百足と蜂の領巾をオホナムヂに授け、使い方を教えたので、安らかに眠り、朝になるとすこやかに室を出た」(三浦佑之『古事記神話入門』*2、pp.83-84)。ところで、「太平天国」の「洪秀全は聖書が豚を不浄とみなしたために豚肉を食べず、牛肉や油で炒めたムカデを食べた」(菊池秀明『太平天国』、p.93)。