自由主義ではなかった?

時事通信の記事;


国側「性風俗業は不健全」 コロナ給付金除外で初弁論
4/15(木) 18:32配信


共同通信

 新型コロナウイルス対策で支給される持続化給付金*1や家賃支援給付金の対象から性風俗事業者を除外したのは、法の下の平等に反し違憲だとして、関西地方でデリバリーヘルスを営む会社が給付金の支給を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁で開かれた。被告の国側は「性風俗業は本質的に不健全。支給の対象外としたことは合理的な区別だ」として争う姿勢を示した。

 原告側によると、給付金を巡り、性風俗事業者が起こした訴訟は初めて。会社経営者の女性は法廷で「まるで嵐の中、性風俗業の者だけが裸で外に追い出されたように感じた。国による職業差別を許さないでほしい」と意見陳述した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2976b291c902590453596002d775f64240b3af1

この国側の主張は、屡々庶民感覚として美化される俗情と一致するところが大きいのだろう。だからといって、政府(或いはその代理人)が俗情との結託を堂々と主張することのダメージはその統治の正統性にまで及ぶかも知れない。もし「性風俗業」に明白な有害性があるなら立法によって明示的に禁止すべきだろう。そうではなくて、存在は許してやる、しかし差別は甘受しろ! という態度を政府が取ることが自由主義体制において許容されうるのかどうかを、よく考えてみなければならない。
識者の意見をちょっと写しておく。
上の記事に対する山口浩氏*2のコメント;

法律を守って合法的に営業している事業者が不健全であるというなら、「不健全」な事業を許容する現行制度やそれを決める人々もまた不健全というべきであろう。この業種で法令違反があるから公的保護に値しないと主張するのであれば、これまで何ひとつ法令違反をしたことがない人や企業(まずいないだろうが)のみを公的保護の対象とすべきである。そもそも、コロナ給付金は事業者やそこで働く人々を守るためだけでなく、社会全般への感染拡大を防ぐためのものでもある。「不健全」な事業で働く人々は感染しないわけではなく、そこからそれ以外の人々に感染しないわけでもない以上、公衆衛生の観点からみて、彼らを給付対象からはずすことは不適切以外の何物でもない。
小二田誠二氏*3
小飼弾*4