緑の奴に逐われて

時事通信の記事;


オガサワラシジミ絶滅か 日本固有のチョウ―環境省
2020年08月27日21時14分


 環境省は27日、絶滅危惧種に指定しているチョウ「オガサワラシジミ」の繁殖が飼育下で途絶えたと発表した。最後の生息地である小笠原諸島の母島(東京都小笠原村)でも、野生下では2018年を最後に生息が確認されていない。今後の調査でも見つからなければ、日本固有のチョウの中で初の絶滅となる。

 オガサワラシジミは、小笠原諸島に生息する日本の固有種。外来種トカゲ、グリーンアノールの影響などで1989年ごろから個体数が急減していた。絶滅を避けるため、環境省は2005年から個体を持ち帰り、多摩動物公園で飼育を開始。19年10月には新宿御苑に成虫19匹を引き渡した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020082701132&g=soc

See also


「オガサワラシジミの生息域外個体群の繁殖途絶について」https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=26374


「グリーンアノール」について;


“Anolis carolinensis” https://en.wikipedia.org/wiki/Anolis_carolinensis
「グリーンアノール」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB
国立環境研究所「グリーンアノール」https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/30100.html
平坂寛*1「グリーンアノール、増えてるな〜」https://hiroshi-hirasaka.com/greenanole-fueteru-okinawa/


小笠原で絶滅に追い込まれたのは「オガサワラシジミ」だけではない。これについては、上掲の国立環境研究所データベースのほか、


半澤聖也「小笠原に蔓延る外来トカゲ 「グリーンアノール」の脅威」http://www.monstersproshop.com/ogasawara-island-anolis/
kimo-ota (ikimono-otaku)「小笠原諸島の自然生態系を脅かすグリーンアノールとセイヨウミツバチ」https://biome.co.jp/biome_blog_080/


小笠原に蔓延るグリーンアノールだが、1960年代に最初に持ち込まれたのは僅か14匹だったという*2。現在生存が確認されているのは小笠原のほかには沖縄本島。沖縄の生態系への影響はわからない。ただ、平坂寛氏によれば、グリーンアノールは「飼いやすく美しい初心者向けのトカゲとして」「ペットショップで安価にたくさん売られてい」た。当然、野生に放たれた個体も多かった筈だ。何故日本本土ではグリーンアノールは問題になっていないのか? 勿論小笠原群島が〈太平洋のガラパゴス〉ともいうべき孤絶した生態系をなしているということはあるが、そのほかの理由は?