「最北端」の危機

朝日新聞』の記事;


日本最北端の大学が廃止の危機 入学39人、補助金も…


奈良山雅俊 2019年7月26日10時18分



 北海道稚内市の私立稚内北星学園大学を運営する学校法人「稚内北星学園」(理事長、斉藤吉広学長)は、大学の存廃について近く市と協議に入る。少子化で学生の確保が難しく、厳しい経営が続く中、国の補助金削減が追い打ちを掛けた。秋までに結論を出すが、再建は厳しい状況だ。

 同大は1987年、短大として開学し、00年に情報メディア学部1学科の4年制に移行した。大学経営の柱は授業料収入だが、入学者の確保は当初から苦戦。定員割れを防ぐため、募集定員を180人から段階的に減らしていった。

 04年に東京サテライト校を設置したが*1、入学者は右肩下がりで13年3月に閉鎖。14年度から定員を50人にしても充足率は30~70%台で、今年度の入学者も39人にとどまった。外国人留学生を積極的に受け入れ、現在121人の在籍者中、ネパール人留学生が約3割を占める。ただ授業料は年間25万円で、留学生3人で一般学生のほぼ1人分にしかなっていない。

 そこに国の特別補助金減額が重なった。痛手となったのは文部科学省の経営強化集中支援事業。15、16年度は年約4千万円を受けたが、17年度は約1千万円に減額。定員の充足率や顕著な経営改善がみられないとして、18年度は補助金の申請自体が出来なくなった。

 同大は、市が「日本最北端の大学」として誘致し、校舎の建設費用なども負担して開学した。経営の悪化を受け、市は16年度から運営補助金として年5千万円(20年度まで5年間)を支出している。同大もアトピー性皮膚炎を治すため、豊富温泉を利用する学生の授業料減免やカーリング特待制度など学生の確保に工夫。ロシア語やパソコンの市民講座、大学図書館の無料開放など地域とも深く関わってきた。
(後略)
https://www.asahi.com/articles/ASM7D54L1M7DIIPE014.html

文部科学省の「経営強化集中支援事業」が止めを刺したということだけど、さらに根本にあるのは稚内市という「日本最北端の」都市の危機ということだろう。稚内北星学園大学が閉校ということになれば、そのショックはほかの地方都市にも波及するだろう。地域活性化のためということで誘致された多くの大学が経営危機に陥り、大学の危機のみならずローカルな政局も惹起しているわけだ*2