括弧くらいつけろ

「「仁徳天皇陵」って?」https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2019/05/15/085956


大阪府の「中百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産登録勧告を巡る共同通信の記事が突っ込まれている。


仁徳天皇陵世界遺産へ ユネスコ機関が登録勧告
2019年5月14日 01時03分


 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は13日、日本最大の前方後円墳仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)を含む大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。全49基の古墳が対象。文化庁が14日未明、発表した。6月30日~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しで、天皇や皇族が葬られた「陵墓」が世界遺産になるのは初めて。令和に入り最初の世界遺産となる。

 登録されれば日本の世界遺産は文化19、自然4の計23件となる。文化遺産の登録は、2013年の「富士山」以降7年連続。

(共同)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019051301002679.html

要するに、

遠神十三@tokamijyuza

ユネスコ世界遺産登録の動きを機に呼び名を「大山古墳」から「仁徳天皇陵」へ「戻す」動きが正直一連の国粋的な動きに見えてキナ臭い感じがしますね。


7:10 PM - May 14, 2019
https://twitter.com/tokamijyuza/status/1128256216654761984

ということ。
昨年10月の徳重辰典「発掘調査決まった「大山古墳」、あれっ仁徳天皇陵じゃない?」という記事*1では、

「大山古墳」、「仁徳天皇陵」以外にも「大仙古墳」「大仙陵古墳」「伝仁徳陵古墳」「仁徳陵」。地元では親しみを込めて「仁徳さん」と呼ばれることもある。
宮内庁での呼称は「仁徳天皇 百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ)」と平安時代中期に編纂された「延喜式」が記す名となっている。

同庁では第16代仁徳天皇の陵墓に治定・管理しているが、学術的、考古学的に立証されているわけではない。

このため考古学会などは、被葬者が誰か確定していないのに誤解を生むとして、通常の遺跡と同様、所在地名に由来する「大山古墳」とするよう求めており、教科書でも「大山古墳」「大仙古墳」と書かれていることが多い。

と述べられている*2
なお、上田真由美記者が執筆した「「仁徳陵」など古墳群、世界遺産へ ユネスコ機関が勧告」という『朝日新聞』の記事では、タイトルでは「仁徳陵」と括弧で括られ、本文でも「大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵)」「誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳(伝応神天皇陵)」という表記を用いている*3
またその基準からすると、『ハフィントン・ポスト』の、小笠原遥「仁徳天皇陵を含む「百舌鳥・古市古墳群」とは 世界遺産登録へ、何が評価された?文化庁に聞いてみた」*4はタイトルからして駄目記事ということになる。本文でも「大山古墳」とか「 誉田御廟山古墳」といった言葉は全然出て来ない。
ところで、朝廷側の文書を信じる限り、天皇が大和ではなく、現在の大阪府に葬られていたいた時代が100年以上続いていた。そして、天皇陵はまた大和国に戻る。これはどういう意味なのか。やはり「河内王朝」というのを設定すべきなのか。記紀の本文でいくら万世一系を主張しても、陵の分布がそれを裏切ってしまう? なお、これは、よく謂われる継体天皇で皇統が一度切れたという話とは別である。継体天皇陵と伝えられる古墳は大阪府茨木市にあり、次の安閑天皇羽曳野市、その次の宣化天皇奈良県橿原市で、大和国に戻る。
また、歴代の天皇の中で伝統的に神として信仰されてきたのは応神天皇だけなのだった。八幡神として。